10月11日。「鉄道の日記念きっぷ」を手に西へと向かいました。
目指すは瀬戸内海。
この夏から秋にかけ、瀬戸内では、7つの島と高松を舞台に「
瀬戸内国際芸術祭」が開催されました。西日本ではおそらく初となる大規模な現代アートの祭典ということで、以前から楽しみにしていたものです。
オープンは7月19日。しかし、この夏は非常に暑い日が続き、また、予想以上の人出から、現地は休日を中心にかなり混雑しているという事前情報も。そこで、10月の平日を狙って訪問することにしました。
今回の旅の目的は次のとおり。
1 瀬戸内国際芸術祭
2 往路は「鉄道の日記念きっぷ」を使い、普通電車のみで瀬戸内海をめざす
3 復路はサンライズ瀬戸で帰京 (正確には横浜で下車してそのまま出勤)
4 うどんをたくさん食べる
ちなみに、瀬戸内国際芸術祭のガイドブックは前日にようやく入手。何件か書店やミュージアムショップを回りましたが、売り切れのところが多く、結局丸の内丸善で買いました。
東京駅を出発したのは6時頃。今回の旅は宿泊地が高松ということもあり、現地ではできるだけ多くのうどんを食べることをミッションのひとつにしていましたが、折角の鉄道旅(しかも長時間)なのでその途中でも乗り換えの際にできるだけ「麺」に挑むことにしました。そして、その第1弾は浜松駅でのおそば。

静岡県内でおそばを食べるときに思うのは、つゆの色は関東風の濃い目なのに、ねぎが青い細ねぎであるということ。この色のコントラストは静岡ならではと感じます。そして七味ではなく一味を置いている店が多い気が。
そして名古屋を過ぎで大垣まで来ると、いよいよ西日本、という気分になります。ここからは米原行きに乗り換え、米原からは姫路まで新快速で。京阪神を結ぶ新快速は停車駅が少なく、気がつけば兵庫県まであっという間。

姫路では一風かわったおそばを頂きました…「えきそば」という名前で販売されていましたが、実際にはおそばなのか、うどんなのか本当のところは良くわからないまま食べました。太さはおそばに近いですが、色と味はうどん寄り。麺に関してはちょっとふにゃっとした歯応えから、間の抜けた印象が免れないですが、味自体は美味しく、また機会があれば食べたいと思います。

相生からは「広島行き」の山陽本線。普通列車の旅ではこれまで西限が神戸だったので、「広島」の文字を目にして、とうとうここまで来たか…という思い。

実は、この日は当初の予定では電車で瀬戸大橋をわたり高松入りする予定でした。しかし公式ガイドブックを良く見ると、岡山県側の沿岸にある宇野にも1点だけ作品が展示されているとのこと。そしてそれが淀川テクニックの作品であると知った私は、この日は宇野まで列車でゆきそこで作品を見てからフェリーで高松入りすることにしました。
車中で夕暮れを向かえ、岡山についたのは夕方6時頃。ここからは宇野線でその終点の宇野へ。オレンジとグリーンの車体は、かつては首都圏でも目にしていた配色で、どこか懐かしい感じ。


宇野には7時頃に到着。終点の駅らしく頭端式のホーム。駅舎はなんとなくハイカラなムードです。駅の目前にはフェリー乗り場。ここははかつて瀬戸大橋ができるまでは四国への玄関口でした。


淀川テクニックの作品は、埠頭の一角に展示されていました。このアーティストはもともと淀川で拾ったゴミによる彫刻を発表していたユニットで、コンセプトの面白さだけでなく造形的にも一貫性があって、近年ではその活動の場を海外にも広げています。「宇野のチヌ」は漂着物を使って魚のチヌを表現したもの。さまざまな場所から流れ着いたものどうしのアッサンブラージュは多様なルーツを内包し、それらの来し方を想像させるような作品でした。

続いて、フェリー乗り場に向かうと、そこに芸術祭の会場のひとつである直島からの船が到着。接岸後、そのなかからはたくさんの人が降りてきました。乗客の中には上陸の瞬間をカメラに収めようとする人も多く、一斉にフラッシュがたかれていました。その人の群れからは祝祭を経験した人たちの熱気と喜びがまだ熱く残っているように感じました。その背後には「回送」と表示されたバスが数台。1日の役目を終えての帰還でしょうか。この夜は3連休の最終日、休日を島で過ごした人々はここから宇野線で岡山まで出て、おそらくそこから新幹線などで帰るのでしょう。

ターミナルでは、ここのスタッフ(?)と見られる猫さんと出会いました。

そして私は高松行きのフェリーに乗船。真っ暗な屋上のデッキのベンチに座り、潮風に髪を乱しつつ、フェリーターミナルで買ったビールを開けます。暗い海に浮かぶ島影、そして盛んに往来する船。夜空を見上げれば星が輝き、なんて幸せなのだろうと涙が出てきてしまいました。途中からデッキにやってきたカップルが暗がりをいいことに抱き合って熱烈にキスをし始めたときはちょっとムッとしたけど、でも自分が同じシチュエーションだったら絶対同じことするよ!うんうん。
高松には1時間ほどで到着。10分ほど歩いて、駅の近くにあるビジネスホテルにチェックイン。おなかが減っていたのでうどんを食べられそうな場所を探しますが、9時を過ぎていたこともあり、うどん屋さんの多くはすでに閉店。居酒屋さんに入り、じゃこ天と「ぶっかけ」をオーダー。自宅を出てから約16時間…この一杯は美味しかったです。

この日利用した「鉄道の日記念きっぷ」はJRの普通列車全線乗り放題が3回分で9,000円というもの。1回あたり3,000円という計算になります。自宅最寄駅から宇野までは新幹線利用だと17,000円程ですからかなりの節約に。ホテルは1泊3,980円のプランを利用しました。