カテゴリ:西日本の旅2012春( 18 )

8日間をかけて西日本をまわった旅の最終日。
いよいよ東京行きの列車に乗る時が来ました。


静岡駅。
私が乗るのは、373系車両を使った静岡発東京行きの普通列車。列車番号は338Mです。

19時過ぎにホームに向かうと、そこには鉄道ファンと思しき方たちが写真を撮っていました。

私も車内に荷物を置いてから、撮影をします。


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ほおずりもさせていただきました。

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やがて発車。

由比駅での「ふじかわ」通過まち(この日は身延線が全線復旧する前で、この特急が追い抜かしていくことはありませんでしたが)、そして、貨物列車やサンライズ号とのすれ違い…

そんなことをひとつひとつ確認ながら、私にとっての最後の乗車の時間を過ごしました。

そして東京着…22:42。

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373系車両で静岡~東京間を結ぶ338Mはその翌日をもってダイヤの上から姿を消しました(338Mは今後、JR東日本の車両で沼津~東京間となります)。私にとって、とても思い入れのある列車で、こんなに寂しいダイヤ改正は初めてかもしれません。


この長旅の最後に乗ることができたのは嬉しいことでした。
ありがとう、そしてさようなら。


8日間をかけて、青春18きっぷで西日本を中心にアートと鉄道を楽しんだ旅。
鉄道による今回の移動距離は、3036.2キロメートル、訪れたミュージアムは12ヵ所でした。      
3月15日。
青春18きっぷの旅、8日目。旅の最終日。
名古屋で愛知県美術館を訪問したあと、東海道線でいよいよ東京を目指します。

ただしその帰路にて一ヶ所だけ寄り道。
浜松発熱海行きの列車で途中下車したのは静岡駅です。

その目的は、この旅最後の美術館訪問、おいしい食べ物とお酒、そして鉄活動。

まずは地下通路をとって静岡市美術館に向かいます。

途中で、このような横断幕を見ました。
昨年夏から一部区間が運休していた身延線が、3月17日より全線開通とのこと。

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静岡市美術館では「竹久夢二と静岡ゆかりの美術」を見ました。
この展覧会は、同館のコレクションに加わった志田喜代江氏による竹久夢二コレクションを中心に、近世から近代にかけて制作された「東海道と静岡」をモチーフとした作品、そして静岡ゆかりの作家による作品などで構成されています。

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志田氏によるコレクションは、夢二の肉筆画から、装丁、著作など、その幅広い仕事を網羅する内容となっており、じっくり見ているといくら時間があっても足りないほどでした。この展覧会、このコレクションだけで構成されてもよかったのではないかしら、と思うくらい。

ただし、面白いなと思ったのは、可愛らしいくデザインされたチラシのなかで、江戸時代の「東海道図屏風」を背景に、その前に夢二描く美女が座ってその画面を見ているようにコラージュされている部分。夢二は、東京や京都で様々な女性と恋をしたことが知られていますが、このふたつの街を繋ぐ街道を女性が眺めている図は、まさしく彼の人生をアレゴリカルに表現しているようだと思いました。


そして、この旅で最後の食事。
駅ビルのなかの「沼津魚がし鮨」へ。

こちらのお店、昨年リノベーションされており、その後訪問した際も満員状態などで入れず、約1年ぶりの訪問でした。カウンターに座り注文をすると、ふと気付いたのは同じくカウンターに着席したマダムの姿…1年前にご夫婦で来店した際にたまたま私の隣に座ったことがきっかけで、そのまま一緒にお酒を飲んだ方でした。

お声がけすると、その方も大変驚き、あとからやってきたご主人とともに、「奇跡の再会」を祝して乾杯。

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ご夫婦は三島在住で、このお店への来店も久々とのこと。旅の最終日に、こんな素晴らしい再会が待っているとは…ちょっと涙が出そうになりました。

せっかくなのでゆっくりと親交を温めたかったのですが、この日は私にとってとても大切なミッションがありました。それは、この翌日に廃止される「静岡発19:30東京行き」の列車に乗ること。

そしてホームに向かいます。


(つづく)
3月15日。
青春18きっぷの旅、8日目。

午前中に春日井駅でワムを見納めた後、私が向かったのは愛知県美術館。

こちらでは愛知県立美術館のコレクションによる企画展「うつし、うつくし」見ました。


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この展覧会は美術作品の創造において様々に織り込まれている「うつし」という行為について考えさせられる内容となっています。

ここでは、例えば技法でいえば版画や写真あるいは立体では型を用いた鋳造彫刻といったものが、そして表現でいえばイメージの借用や引用といった方法が紹介され、物理的・非物理的の双方においておいて行なわれてきたさまざまな「うつし」に光があてられていました。


近代から現代までの、様々な技法の作品が出ていて、あまり難しいことを考えずとも楽しめる内容でしたが、特に印象に残ったのは、ぬるりとしたした形態の戸張孤雁の彫刻、黄色いレンガ壁が「黄瀬戸」の肌を思わせる小林古径の日本画、信長が世界地図や黒ヒョウとともに描かれた福田恵一の屏風、ミクストメディアによる竹村京の大画面コラージュなど。

同館が誇る木村定三コレクションからは熊谷守一の作品が数点出品されていました。ここでは微妙に異なる表現を持つふたつの作品が、その比較を誘うように展示されていました。近づいて見てみると、その2点の絵画の違いというのは、守一絵画の特徴のひとつである「輪郭線」が、絵の具を「塗る」ことによって表現されるものと、「塗らない(塗り残す)」ことによって表現されるものであるということが判明。


企画展を見終わり、コレクションによる展示室を進みます。

そこでは同館のコレクションにより構成され、2011年に島根県立美術館で開催された「ふらんす物語」の出品作品が特集的に展示されていました。ここではマルケやデュフィ、ボナール、マティスといったフランス人の画家やモディリアーニやフジタとしったエコール・ド・パリのアーティスト、そしてフランスにゆかりの深い海老原喜之助や梅原龍三郎といった作家の作品などが展示されていました。

こちらの美術館はコレクション展示がいつも充実しているのがいい。
駅からのアクセスも便利ですし、名古屋を訪れたときはかなりの頻度で訪問しています。


この日の最終目的地は東京の自宅。
金山駅からJRに復帰し、東海道線で東を目指します。

豊橋で浜松ゆきに乗り換え。

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そして浜松では熱海行きに乗り換えました。

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(つづく)
3月15日。
青春18きっぷの旅、8日目。この旅の最終日。そしてダイヤ改正2日前。


毎年、春のダイヤ改正ではいくつかの列車や車両が引退するので、鉄道好きにとっては一年のなかでもとりわけ気もそぞろな季節となります。


この日の午前中に私が向かったのは、中央本線の春日井駅。
やはり今回のダイヤ改正で引退する貨車「ワム」を見るためです。

まずは名古屋駅から中央線に乗ります。

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春日井駅で下車すると、そこにはワム目当ての人々が30名ほどいました。

ラストランの記念ヘッドマークがついたFE65。

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機関車は、入れ替え作業のため、線路を行ったり来たり。

旅客列車との並び。

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機関車とワムが連結された状態。

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ワム狙いの人々の多くは、この列車の撮影を他の場所でも続けるため、その出発に先んじて上り列車で名古屋方面へ移動。私がこの貨物列車を見送った頃には、気付けば鉄道ファンの姿はほとんどありました。


私は鉄活動を一旦ここで中断。
名古屋駅できしめんを食べて、そして愛知県美術館へ向かいました。

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(つづく)
3月14日。
青春18きっぷの旅、7日目。

お昼ごはんは金沢駅の改札内の「白山そば」で「とうふ天そば」。

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この日は、旅の計画段階では、金沢から直接普通列車で名古屋方面に向かう予定でいました。しかし、思うところあって予定を変更、京都を経由することにしました。

ということで今回の旅で唯一の特急列車に乗ることに。

普段から列車に乗るのが大好きな私ですが、基本的に青春18きっぷなど、普通列車乗り放題タイプのきっぷが専門領域のため、実は特急に乗るというのは非常に珍しい。

ちょっと緊張しつつ、乗り込んだのはサンダーバード24号。

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そして、2時間ほどで京都に到着。
そして市バスで向かったのは京都造形芸術大学。

この春、家族がこちらの大学の修士課程を修了したため、その修了制作展を見てきました。

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私もかつてこのあたりに住んでいて、この大学の図書館には随分お世話になりました。
京都を離れてもう7年。この街に住んでいたのは7年間でしたから、東京暮らしもそれと同じくらいになるんだなと思いつつ。


ふたたび市バスで京都駅まで戻り、東海道線で東へ。
この旅もだんだんと終わりに近づきつつあります…

(つづく)
3月14日。
青春18きっぷの旅、7日目。


この日は金沢、京都を訪れました。

早朝の敦賀駅に停車する急行「きたぐに」をホテルの窓から眺め、そして6:48発の金沢行き列車で出発。

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芦原温泉駅停車時には、サヴィニヤックの作品が大きく張られた建物を目撃しました。
偶然近くに止められた、真っ赤な車とよく似合っています。

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途中、寝台特急「日本海」「トワイライトエクスプレス」ともすれ違い。
「日本海」はこの数日後、ダイヤ改正で廃止されてしまいました。



9時過ぎに金沢に到着。
改札外の「白山そば」で朝うどんを食べました。

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そしてバスで金沢21世紀美術館へ移動。

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こちらでは「押忍!手芸部 と 豊嶋秀樹『自画大絶賛(仮)』」そして「モニーク・フリードマン展」などを見ました。

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ハンドメイド感とジャンク感がブレンドされた「押忍!手芸部 と 豊嶋秀樹『自画大絶賛(仮)』」では、石澤彰一部長による「公開部活」も見られました。

ここで面白かったのはアンプにつながれたミシン。
ミシンは楽器にもなるんですねえ。

ミシンから連想するのはマン・レイの「イジドール・デュカス」の謎。それから、NHKの朝の連続テレビドラマ「カーネーション」のオープニングでは、ミシンは岸和田のだんじりのに模され、同時に、主人公の人生の「乗り物」の寓意として表現されていました。

ミシンは被服を生み出すための機械で、機械の中でも身体や皮膚にもっとも強く関わっているもののひとつ。また、プロの職人以外では家庭内で女性が使うものというイメージがあり、現代美術の素材として使われるときには、様々な読み取りが出来るものでもあります。

「モニーク・フリードマン展」は、光を孕んだ色彩による静謐な平面作品やインスタレーションにより構成されていました。薄い紙を使ったインスタレーションも含め、展覧会全体から感じた言葉は「呼吸」。

コレクションによる展示のうち、粟津潔「ピアノ炎上」とツエ・スーメイの「ヤドリギ楽譜」は別の機会で見た際にとても印象に残っていたものでしたが、、この日見てもやっぱり面白いなと思いました。

その後、館内のデザインギャラリーで開催中の「Olive1982-2003 雑誌『オリーブ』のクリエイティビティ」もあわせて観覧。

2011年4月から1年間にわたり展示されている「ピーター・マクドナルト 訪問者」は、去年の8月に訪問した際にも見ましたが、今回も会場を除いてみたら、DJブースが出来ていました。

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その後、この企画のサテライト展示が、美術館のすぐそばにある「金沢能楽美術館」に展示されているということで、そちらにも足を伸ばしました。

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その館内に展示されているのは「能」をテーマにした絵巻。

普段はディスコテックで踊りまくるアフロさんたちが、ここでは五劫思惟の阿弥陀の如くスピリチュアルな世界を展開していました。


窓を使った展示は、建物の外から見ることができます。

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再び21世紀美術館に戻り、「タレルの部屋」へ。
この日の空は雲がもやもや。


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楽器になったミシン、能を舞うアフロなど、ちょっと変った組み合わせに刺激を受けることが多かった今回の訪問でした。でも、この美術館のよいところは、最後にこの「タレルの部屋」に入ることにより、どんな展覧会を見たあとであっても、その「空に開かれた空間」が余計な興奮を鎮めてくれること。その感覚を重ねるほどに、私はこの美術館が好きになり、そしてこのジェームズ・タレルというアーティストが好きになります。


(つづく)
青春18きっぷの旅、6日目。

この日の午後は、鳥取から福井県内まで一気に移動しました。

まずは山陰本線で城崎温泉まで。

城崎温泉といえば、高校3年生のときに国語の教科書に出てきた志賀直哉の小説「城の崎にて」を思い出します。いまから思うと、その授業を担当した50代の女性教師は指導力にかなり問題があり、言葉もたどたどしく、その内容もまるで支離滅裂でした。私を含めて多くの生徒が大学受験への危機感を感じて「内職」をしていたように記憶しています。彼女の授業は一年間受け続けたはずなのですが、なぜか「城の崎にて」の授業で、死に絶えようとしている小さな動物の姿を主人公が見つめているという場面を、独り言のように小さな声でぼそぼそと読む姿だけが強く記憶に残っています。

乗車したのはこのローズ色の車両。
オレンジ色の車両と連結されていました。

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出発して1時間半ほど。カニで有名な香住に少々の停車。

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特急が通過していきました。

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パタパタ式。

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改札の外にも出てみました。

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この街の名前は、京都に住んでいた頃、JR西日本の「カニカニエクスプレス」の広告でよく目にしていました。


さすがカニの街というだけあって、駅の周りをざっと見ただけでもカニの姿がたくさん。
瀬戸内海の女木島(めぎしま)、通称「鬼が島」に設置されている鬼に比類するレベル、いやそれ以上かも。


旅人を歓迎する広告塔。
側面にはリアルタイプのもの、てっぺんにはキャラクター風のもの。

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観光案内所のカニ時計。

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ツメ部分のみの像。
大きさもさることながら、この開き具合の角度…近づくには勇気が要ります。

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ポストの上のは、あえて赤くせずオブジェ風に。
ポストの正面とクロスするかたちでカニが設置されているのもこだわりのひとつでしょうか。

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ここにも巨大なのがいました。
「歓迎」じゃなくて「カニ迎」と書かれています。

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ホームにも。こちらも「ツメだけ」バージョン。

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ひととおり楽しんだところで列車の発車時刻になったので再び出発。

香住から30分ほどで到着した城崎温泉駅には特急「こうのとり」がいました。

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ここからは福知山まで。

玄武洞駅で特急と行き違い。

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和田山駅の前には、給水塔がありました。

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16時半頃、福知山に到着。

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ここからグリーン一色の113系に乗り換えて、終点の東舞鶴まで。

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東舞鶴までは所要時間約1時間。
駅に着く手前で、北近畿タンゴ鉄道の車両が見えました。

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東舞鶴駅では一旦改札を出て、駅前のスーパーマーケットで、夕食の買出し。
サラダと赤ワイン、そしてキオスクで地元のさつま揚げを購入。

旅先で美味しいものを食べるのもよいけれど、それが続くと、お金ももたないし、イレギュラーな栄養バランスは体調にも響いてくる。長旅のときこそ外食の割合を減らして、野菜や果物を意識的に取るようにしています。

駅に戻ると、これから乗車する敦賀ゆきの小浜線、それにタンゴディスカバリーがとまっていました。

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敦賀駅には20時近くに到着。

駅前の「敦賀マンテンホテル」は駅前のビジネスホテルで、予約時には正直「この名称のセンスは…」と思っていたのですが、チェックインして驚き。レディースフロアに用意されたお部屋は、インテリア雑誌に出てきそうなオシャレで清潔感のあるお部屋。ナノイーのスチームエステ、マッサージマシン内臓クッション、コスメ類も充実。

しかも…

部屋からは線路が見えて、列車の音が聞こえてくる。
貨物列車に反応して窓の外を見れば、後部標識が発光ダイオードで「北国仕様」になっている貨車が走り去るのが見えました。

そこでふと思ったのが、数日後のダイヤ改正で引退する急行「きたぐに」のこと。この列車は新潟から大阪に向かう途中に敦賀に停車するので、朝早く起きればその姿を見られるかも。そう思って時刻表を調べてみたら、停車時刻は4時43分。


そしてその夜、私は目覚まし時計を4時30分にセットして眠りについたのでありました。

(つづく)
3月13日。

青春18きっぷの旅、6日目。

この日は、松江を出発して、鳥取経由で敦賀泊という行程です。

朝6時過ぎの松江駅。雪がはらはらと舞っていました。

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乗車したのはこの列車。

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なお、向かいのホームには「スーパおき」がやって来ていました。

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鳥取までは3時間あまり。
車内はなかなか快適です。

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米子駅にて、少々の停車。


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あれ?

あのラッセル車用のディーゼル機関車は、木次線で臨時運行されているトロッコ列車「奥出雲おろち号」を牽引している機関車では?冬の間はこんなかたちで働いているのですね。ご苦労様です。


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境線の「ゲゲゲの鬼太郎」ラッピングトレインを見ることも出来ました。

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そして電気機関車も。

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いい感じの色の列車も隣に並んでくれました。

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そしてさらに東に向かいます。

かわいい。

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ちなみにこの日の朝ごはんは、前日に安来駅の売店で購入したパン。
地元のベーカリー「長谷川製パン工場」さんのものなのですが、買った数種類のパンが、いずれも特筆すべき美味しさでした。惣菜パンの具もとても丁寧に作っているとお見受けしました。

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「山陰最古の駅舎」の「御来屋」(みくりや)駅の停車時は、雪が本降り。

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8時半頃、倉吉駅に少々の停車。
列車を降りて、空気を吸ってみます。

向かいから朱色の列車がやって来ました。

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そして鳥取に到着したのは9時半をすこし過ぎた頃。

向かいのホームには若桜鉄道の車両がとまっていました。この列車は鳥取駅から群家まで因美線を走り、そのあと若桜鉄道へと乗り入れます。いつかはこの路線にも乗ってみたい。

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鳥取駅からはバスで鳥取県立博物館へ向かいました。
こちらでは鳥取県の鉄道史をテーマにした展覧会「鳥取鉄道物語」が開催中。

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内容そのものは、鳥取県の郷土史に強く関連したもので、地理の理解がないとなかなかついて行きづらい部分もありましたが、、解説が分かりやすくまとめられていたため、楽しく観覧することができました。

特に興味深かったのは、梨の輸送を目的に仕立てられた貨物列車「梨列車」です。これに関しては農家に対しての広報媒体も合わせて展示されていて、そこでは「出荷のためのマイカーのようにお使いください」というニュアンスで利用が勧められているというのが面白かったです。おそらく、時代を考えれば「自家用車」に対する憧れを利用した広報戦略だったのかもしれません。

昭和35年頃に撮影された写真には、梨列車を見送る数百人の人が駅に押し寄せている様子が写っています。有蓋車には「二十世紀梨初出荷」「日本一初出荷」と書かれた紙がペタペタと貼られ、列車全体にたくさんの紙テープが投げられ、そして機関車からは白い煙が勢いよく上がっています。祝祭的な雰囲気が伝わってくる、とてもよい写真だと思いました。

この列車は昭和40年頃まで運行されていたとのことですが、おそらくその後はトラック輸送に代わられてしまったのでしょう。


お昼前にはバスで鳥取駅に戻り、ここで鳥取県内唯一のイートイン。駅の中で見つけた、鳥取港直送のネタを使った回転寿司やさんで地魚の握りを少々いただきました。回転寿司といってもお昼時の前の時間帯だったため、美人の職人さんを独り占めして握っていただくことができました。とても美味しかったです。

そして12時過ぎの列車でさらに東へ向かいます。

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(つづく)
青春18きっぷの旅、5日目。

この日の予定はかなり適当で、足立美術館への訪問以外は特に考えていませんでした。

朝の時点では「境線」あたりに乗ろうかなと思っていたのですが、よく考えてみたら18きっぷの元が取れないことに気付き、そこで「木次線(きすきせん)」に乗ってみることにしました。

安来から山陰本線で西へ向かいます。
山陰本線は数分の遅延で動いていました。

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松江をすぎて数駅めの「来待」(きまち)で列車行き違いのため停車。
しかし対向列車も遅延しているため、しばしこの駅で抑止。
「列車がやって来るのを待つ」…駅の名前にぴったりすぎる状況です。

この列車を降りたのは「宍道」。

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ここで、この駅を始点とする木次線に乗り換えました。

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木次線は宍道と備後落合を結ぶ路線です。
しかし、この日は積雪の影響で、実際の運行区間は出雲横田までとなっていました。

列車は、単線の線路を進みます。

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途中、木次駅で少々の停車。

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「きすき」という地名はこの線に乗ることになって初めて知ったのですが、どこかで聞き覚えのある発音だと思って、よくよく考えてみたらフランス語の“Qu'est ce qui”になんか音が似ているな…と。大学生の頃に第2外国語で学んでいたフランス語が、山陰地方の山中で急によみがえりました。

となりの駅が太平洋に浮かぶ島とおなじ「南大東」ていうのも何だかすごいけど。


この駅には「木次線歴史館」という看板を掲げた小さなたてものがありました。

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こちらは残念ながら鍵が掛かっていて中を見ることは出来ませんでしたが、その前にはさりげなく資料の野外展示が。

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待合室では、この路線で活躍するラッセル車の写真が展示されていました。

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駅の外観は若干ハイカラ風。

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駅前の商店街はひっそりとした感じでした。

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一部区間の運転休止を知らせる看板。

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駅に隣接している車両基地。

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やがて上り列車が到着しました。

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そしてさらに列車は先へと進みます。

ここから先の駅舎は、旅情を感じさせるものが多くありました。

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駅名の表示も素敵。

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木次あたりでは「本当に、この先に大雪による運休区間があるの?」と思っていましたが、
気付けばあたりはすっかり雪景色。

んんっ?
貨車レーダー発動!

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そして私が降り立ったのは、この列車の終点のひとつ前の「亀嵩」(かめだけ)。

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駅舎に掲げられた駅名には貫禄がありました。

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待合室は静寂の中。

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ここでの目的は、駅舎のなかにあるおそば屋さん「扇屋」さんです(このお店を紹介してくれた鉄氏、ありがとうございます)。

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ここのおそばはかなり有名なようで、駅舎の前に「高そうな車」を横付けしているのも、こちらを訪れてきたお客様でした。


こちらを切り盛りしていたのは50歳前後とみられるすらりとした男性。こんな場所にあるおそば屋さんのご主人は、きっと頑固そうなお爺さんなんだろうな、と勝手な想像をしていたのですが、その男性は、その場所にはちょっと違和感を覚えるような、どこか垢抜けた雰囲気があり印象に残りました。

そしてメニューを見る私。雪のなかの訪問となったので、暖かいおそばを食べたいのは山々なのですが、出雲のおそばといえば、割子そばスタイル、つまり冷たいおそば。冷え性の私には勇気が要ります。

身体が冷えるのは嫌、でもおそば本来の味を楽しみたい葛藤。そこで私がとった手段は、割子そばとともに、メニューには掲載されていない「熱燗」を頼むということでした。おそるおそるご主人に相談してみると快く承諾していただけました。

本当に図々しい客としか言いようがないのですが、思えば私のこの図々しさというものは、20歳の時に10カ国をひとりでバックパッカーしてしまったことが影響しているような気がします。旅の間は言葉で不自由することももちろん多く、その結果、言葉が通じる場所ならコミュニケーションとネゴシエーションをしながら生きていかないと損、という感覚か身についてしまったのだと思います。

と、心の中で言い訳しつつ、窓の外に目をやると、そこは一瞬のうちに吹雪になっていました。

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やがて、おそばとお酒が運ばれてきました。

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お酒には、きんぴらなど3種類のお惣菜がつきだしとして添えられていました。
メニューにははい飲み物を注文するという不躾な客に対してのこの心遣いに、感動そして感謝。


帰りの列車に乗る頃には青空も見えていました。

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木次線、とても素敵な路線でした。
この先はさらに秘境的風景が広がっているとのことなので、いつかは終点の備後落合まで乗ってみたいです。


宍道駅からは山陰本線で松江まで戻り、この日も松江泊。

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翌日はいよいよ北陸へ向かいます。


(つづく)
旅4日目。
この日は島根県を西から東へ移動。

午前中に益田の島根県立石見美術館を訪問したのち、山陰本線の「快速アクアライナー」で松江に向かいました。

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益田から乗車した列車はステンレスでしたが、ボックス席仕様で、茶色のシートと木目調の壁がなかなかいい雰囲気を醸し出していました。


途中の駅で行き違い。

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出雲市駅では「やくも」を見ました。

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松江に到着したのは16時頃。
駅前のホテルに一旦チェックインしてから、徒歩で島根県立美術館に向かいました。

この美術館には、2004年にワークショップのお手伝いのため訪問して以来です。
この日は「くらしとデザイン 『暮しの手帖』花森安治の世界」を見ました。

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花森安治は、東京大学で美学美術史学を修めたあと、戦後に『暮らしの手帖』を創刊し、没するまでその編集長をつとめた人物です。そのフィールドは執筆、イラストから、服のデザイン、日常生活に対する提言など、きわめて幅広いもので、ひとつひとつの仕事の丁寧さには本当に驚くばかりでした。

花森は、服飾デザインの世界でも多くの仕事をしていますが、私がこの展覧会で思ったのは、「美しく装う」ということは、本来は「美しく暮らす」「美しく生きる」ということと地続きであらねばならない…そうすることによって初めて「おしゃれ」は「本当の美しさ」になるということ。これは中原淳一や長澤節の著作に触れたときにも感じたことです。


こちらの美術館は、閉館時間の設定がとてもユニーク。
その日の日没時刻の30分後となっています。

というのは、こちらは宍道湖に沈む夕日を見ることができる絶好のロケーションにあって、エントランスからゆっくりとその様子を眺めることができるようにとのこと。
建物の設計は菊竹清順。

この日は、空は不機嫌な表情をしていてそれはかなわず、さらに美術館をバスで出発した直後、街は一瞬で吹雪に包まれてしまいました。でも、これもまた日本海らしさなのでしょう。

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晩酌は、前夜同様、ご当地もののサワーをお風呂上りにいただきました。

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この夜は20世紀梨-おとなりの鳥取県の名産ですが-の果汁が入ったもの。
アルフォンス・ミュシャ風のデザインが気に入りました。

(つづく)
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