カテゴリ:あいちトリエンナーレ2013( 16 )

あいちトリエンナーレ、3日目。


岡崎エリアの中心地で作品を見たあとは、帰途に就くため歩いて駅まで。


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駅につく頃には少し薄暗くなり始めていました。

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たそがれ時に見るオノ・ヨーコの「生きる喜び」。

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駅ビルの3階にも作品があるので見に行きました。
階段による掲示によれば、ここにはかつていくつかの食事処があったと思われますが、現在は一店舗が残るのみのようです。

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ここに展示されていたのはキューバ出身のアーティストによるユニット、ゲッラ・デ・ラ・パスの作品。彼らは古着を使った作品を発表するアーティストで、今回は「シークレット・ガーデン」というタイトルで日本庭園や枯山水を表現していました。

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使われなくなったテナントに、蛍光灯によるフラットな光がうら寂しい。

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ガイドブックには「生命の静かな復活を象徴する」という一言が見えますが作品を見る限りなんだか希望は薄め。シークレット・ガーデンという題名は文学作品「秘密の花園」に見られる再生の物語に因んだものだとは思うのですが…。


なおこのユニット名はメンバーの名字「Guerra」と「de la Paz」を組み合わせたものですが、それらはそれぞれ「戦争」と「平和」を意味するスペイン語でもある。ゆえに、この二人の間に生み出される作品はそれがどんなものであっても矛盾さを帯びずにはいられない気がします。


というか、この駅ビルの寂れ具合を見る限り、実際に再開発も遠からじなのかもしれません。



このように、岡崎エリアでの作品はちょっと重いものも多かったのですが、そんななか、折々でチャーミングな顔を見せてくれたのは「オカザえもん」。各地で出現するユルキャラ達の中には色味や装飾で市民に媚びたようなものも少なくないけれど、彼はゆるぎない髪型と目ヂカラだけで勝負している感じがいい。

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次回のトリエンナーレにはぜひ草間彌生さんとのツーショットを実現させてほしい。ちょっと似ているし。


東海道線で帰るため、まずは乗換駅の豊橋まで。
JR改札内の「壷屋」のきしめんで、あいちのアートな旅を締めくくりました。


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(了)










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あいちトリエンナーレ、3日目。
アートをめぐる旅も終わりに近づいてきました。


岡崎エリアの中心地である康生(こうせい)会場に着いたのは15時半頃。

市街地のビルを会場とした平川祐樹、アリエル・シュレジンガー、そして空地を使ったレッド・ペンシル・スタジオの作品を見て、ショッピングセンター「岡崎シビコ」へ。

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1階のインフォメーションコーナーにはブーンスィ・タントロンシンによるショートショートなアニメ「スーパーバーバラ世界を救う」シリーズのうち「水上の瞑想」が上映されていました。このアニメシリーズは、バーバラという名前のセックス・ドールが自らの身体を犠牲にして困った人々を救うというストーリーで、手書き風のタッチとシンプルな起承転結で…といっても結はなく根本的な問題解決にはなっていない場合が多いのですが、それがループで繰り返し写し出されます。誰かが犠牲になっても問題が解決されてないことの痛ましさがジワジワとくる作品ですが、でもそういう事って実は世の中にたくさん溢れているんですよね。


この建物では5階にふたつの作品、6階と屋上にそれぞれ一つの作品が展示されていましたが、いずれも広い空間を使ったインスタレーション。

5階にあるもやっとした暗い空間は向井山朋子+ジャン・カルマンのパフォーミング・プログラム「FALLING」のための舞台。ズーンとした暗い気分に。
https://aichitriennale.jp/2013/artist/mukaiyama_tomoko__jean_kalm.html


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一方、同じフロアにあるバーシア・マクールの作品「エンター・ゴースト、エグジット・ゴースト」は山のように積まれた段ボール箱による迷宮です。ここを一人で歩き出すと、予想以上に不安な気分に。これはアラブ世界の街や難民キャンプと関連づけられた造形でもあるのですが、その窓や入り口と思われる穴が、だんだんと人の顔に見えてきたりして。

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ズズーンという気分でそこを抜け出しフーと一息ついたところで、続く6階にあった作品は志賀理江子の作品「螺旋海岸」。

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…チキンな私が一人で見るには結構キビシイものがありました。



ズズズーンという気分で屋上に向かうと、そこには夕暮れの美しい空が。

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こちらには岡崎市を拠点に活動する建築ユニット、studio velocity/栗原健太郎+岩月美穂による「Roof」がありました。

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よく見ると頭上には白いワイヤーのようなものが格子状に配されていました。
屋根の用途はなさないけれど、鳥にとっては羽を絡めとらてしまうかもしれない危険な存在。最少の物量で空に生きるものと地に生きるものを隔てるその存在は、屋上に上がった時の解放感を見事に萎えさせました。




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(つづく)










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あいちトリエンナーレ、訪問3日目の午後は岡崎エリアへ。
最寄の東岡崎駅へは、名古屋から名鉄で30分ほどです。

駅からは路線バスに乗って作品のある地区へ向かいました。

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最初に訪れたのは松應寺とその周辺の一角。

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お寿司屋さんの角を曲がると、そこには木造の切妻屋根による古風なアーケードがありました。殆どの店舗は廃業していましたが、かつての業態が判るような看板もいくつか残っており、そこから門前町として栄えていた様子が察せられました。

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ここには元美容室を使った青木野枝の作品「ふりそそぐもの/旧あざみ美容室」がありました。内部は立ち入ることが出来ないほどギッシリな状況。美容室だけに、シャンプーの泡のお化けのようにも見えてくる。

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それは壁を通り抜けるかのように、外側にも…

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あらためてこの道の状況と併せてみて見ると、それはかつての繁栄の泡沫にも思われたのでした。


細い路地へと進むと、そこは朝ドラのセットのような場所。

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古い家をまるごと使った丹羽良徳の作品「日本共産党でカール・マルクスの誕生日会をする」はその名の通りの映像作品。

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政治を扱うアーティストは世界中に居ますが、その多くは「政治の現場の外側」に身を置きながら作品を作っている。しかしこの作品は日本共産党の建物の中で取材をしたり、そこでイベントを起こすことで生み出されています。82年生まれの作り手のしなやかなアプローチにも興味を感じましたが、それよりも強く印象に残ったのは(おそらく普段はあまりされないような内容の)質問にひとつひとつ対応していく党員の方々の姿勢。選挙など政治の舞台で見る彼らはいつも「戦う姿」ですが、そうでないモードで紡ぎだされる言葉は、自分の選んだ道で政治に携わる人々の、普段は見えずらいですがしかし重要な一面を明らかにしているように思いました。


松應寺にはオノ・ヨーコの「ウィッシュ・ツリー」がありました。

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境内に置かれた木には個々の願い事が描かれた札がくくりつけられています。テレビ塔でも同じ作品を見ましたが、このような伝統的な祈りの場でそれを見てみると、それはまるで絵馬と同じ機能を持った作品であることがわかります。

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古来、日本に住む人々は絵馬や七夕の短冊に願いを書くことでそれが現実に近づくように祈ってきました。そこには言葉そのものが力を持つという言霊の考えが強く関連していますが、この「ウィッシュ・ツリー」の作者のこれまでの仕事を見ると、まさしくオノ・ヨーコという人は言霊ということを信じているアーティストなのだと思います。


ここ十数年で急送に普及したネットの世界にも言霊は居ると思いますが、それ以前に、言霊ということを知る人々は、21世紀のいま、果たしてどれくらいいるのでしょうか。



(つづく)










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あいちトリエンナーレ、訪問3日目。

長者町エリアで最も大きなボリュームを持っていた作品は、中部電力の廃ビルをまるごと使ったNadegata Instant Partyの「STUDIO TUBE」。

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順路に沿って仮設の通路を進むと…

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内部にはインスタレーションや撮影スタジオが設置され、そこでゆるーい感じの映像作品が上映されていました。

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かなり大がかりな作品でしたが…個人的には展示そのものよりも、建物探険のワクワク感のほうが勝ってしまったのが正直なところ。

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元来、古くてサビれているものが好きな性分のせいかもしれません。
「中部電力」の「電」だけが消失しているようなこの表示もたまりませんでした。

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その向いにあるビル、「八木兵丸の内8号館」では1階から4階までがすべて展示スペースになっていました。奈良美智らによる「ザ・ウイロウズ」の展示から始まり、階上にむかってもポップな作品が続きます。

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ここで私がいちばんグッときたのは4階で出会ったインスタレーション「まぼろし喫茶」。作家は1986年生まれの菅沼朋香。

安っぽい喫茶店の内装が再現され、壁には繁華街の案内図やら、看板やら。スピーカーからは、ループでえれじい感たっぷりの昭和歌謡が。そしてそれに似合わないほどさわやかな秋風が窓からそよそよと吹いてくる。

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そこでギョッとしてしまったのはたまたまそこに居られたオジサマの存在。
つい、昭和の繁華街の精霊を見たような気分になってしまったのでした。


(つづく)










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あいちトリエンナーレ、訪問3日目。
碁盤の目状に広がる長者町エリアを回遊しました。

この界隈には建物の壁や店舗内に展示された作品があり、日常に切り込んでいる様子が。

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そしてこの日の昼食もあんスパ。
たまたま前を通りかかった「あんスパ太郎」というお店に入りました。

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お店はサラリーマンでいっぱい。
盛り付けの雰囲気にもスピード感がありました。

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会場の名前にもなっている「長者町通」は南北に伸びる道。
通りに掲げられた看板には設置当時の景気の勢いと、街の自負心が伺えます。

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この地区では、前回開催時の作品もふくめ、壁面やショーウィンドーを使った平面タイプの作品が比較的多かったです。前回の訪問時には、狭いビルの中を探険するような感覚がとても面白かったので、そういう意味の刺激は今回は少なめ。

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そういう意味では、ビルとビルの隙間を使った、まるでクモのような不思議な動きをする作品-その名も「隙間」はなかなか良かったです。作者はタイのアーティスト、ウィット・ピムカンチャナポン。

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トリエンナーレ訪問初日に納屋橋エリアで見たような、社会派の作品も比較的ここでは少なめでしたが、その中でも比較的強いメッセージ性を持っていたのはセルビアを拠点に活動するユニット、シュカルトによる「インスタレーション」。


会場の中央に置かれていたのはまるでキャラバンのラクダのようなモバイルな庭。

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その造形にはコミカルな雰囲気もあるけれど、根無し草の悲しい宿命を背負っているようにも見えました。


(つづく)










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あいちトリエンナーレ、訪問3日目。
この日は前半にテレビ塔付近と長者町エリア、後半に岡崎エリアを訪問しました。


まずは栄駅の地下街、シマモト画材店の店頭にあるオノ・ヨーコの作品「スカイTV」へ。
これは空の状況をライブで上映する作品。

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この日の空は、前日の雨に洗われたせいか本当に見事な秋晴れでした。テレビ塔も気持ちよさそう。

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その足元には地上には同じくオノ・ヨーコによる「ウィッシュ・ツリー」がありました。

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栄エリアから長者町エリアへ向かう途中には、展示会場となっている「中央広小路ビル」があります。ここでは暗闇の中に車と植物のアッサンブラージュが鎮座する國府理の展示、都市計画と「投票」を掛け合わせた藤村龍至の「あいちプロジェクト」を見ました。

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続いては長者町エリアにある伏見地下街へ。
今回もユニークな作品が数多く展示されていました。

その地下街への入り口。ブルーのペイントと白い線で、まるで青写真が立ちあがってきたような眺めを出現させたのは台湾を拠点に活動するユニット・打開連合設計事務所の作品「Blue Print」です。

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地下に降りてみると、ちょっとしたタイムスリップ感。

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アートなお店もあります。
この時は山下清の作品が大ディスカウント中でした。

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打開連合設計事務所の作品もあちこちで見ることができました。

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地下街のスペースをリノベーションしたスペースにはタムラサトルの「愛マシーン」が。自転車のチェーンのようなものがグルグルグルグル回っていました。個人的にはこういうの大好きです。いつか「今年の漢字」とコラボして清水寺でも実践してほしい。

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掲示版のなかに閉じ込められた花。
作品ぽいけど作品ではない。でも写真に撮ったらその写真はいい感じの作品になりそう。

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薬局の店頭にはタバコ「CABIN」のポスターが。
健康管理は各自の責任で。

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オノ・ヨーコによる「JOY OF  LIFE」の張り紙。
これは作品かな。


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海鼠壁のある理容室。その前にたたずむ男性はここで散髪したところなのかしら…?
個性が光るオシャレなカットですね。

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「一流技術者のみ大募集」。しかも「最高給与」。
勤務年数に限らず実力のあるものが得るものを得る、まさしく下剋上の世界です。

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地上へ向かおうとすると、ふたたびブルーが忍び寄ってきました。

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こちらの出口には列車が描かれていました。
それまで静かだった「Blue Print」の世界から、初めて音が聞こえてました。

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(つづく)









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あいちトリエンナーレ、訪問2日目。

この日は昼食に名古屋名物「あんスパ」を食べようと決めていました。


ということで、センターから地下街を通って行ける「丸栄スカイル」9階の「コモ」を初訪問。ビルのレストランフロアにありながら、昭和の個人経営風の雰囲気のあるお店で、ランチは550円という安さです。


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しかし、うずたかく積まれた太麺パスタと、添えつけ的ポジションに鎮座するライスはそのお値段を悠々と裏切るボリューム感。やっとのことで完食したものの、しばらく身動きすることが出来ませんでした。

おそるべし「コモ」!

(つづく)










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あいちトリエンナーレ訪問2日目。

この日は冷たい雨が降っていたため、栄エリアの愛知県芸術センター内の会場をのんびりまわりました。

10階には愛知県美術館が入居していますが、それ以外のパブリックスペースにも作品が展示されていました。

窓の外に屋上庭園が見える場所で上映されていたのは「キャスパー・アストラップ・シュレーダー+BIG」による映像作品「MY PLAYGROUND あいちトリエンナーレ2013 特別編」。

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これは都市の建築や公共空間をパフォーマーたちが跳躍し、駆け巡る姿を記録した映像作品。忍者のような身のこなしで都会を疾走する若者たちの姿に、リュック・ベッソン監督の映画「YAMAKASI」を思い出しました。

11階には、ガラス越しに名古屋の街が見渡せる回廊部分にダン・ペルジョヴスキの作品がありました。これは窓ガラスにドローイングをしたもので、その名も「ザ・トップ・ドローイング」。その内容はコミカルでシニカル。

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そしてそられがにび色の都会の情景と重なり合うように在る状態は、この社会派アーティストの作品を、視覚的にも意味的にも豊かで強靭なものしているように感じました。

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続いて8階へ移動。

こちらには展示室の広さを活かしたスケールの大きな展示がいくつもありました。
その中には宮本佳明の「福島第一原発神社」だったり、ソ・ミンジョンの「ある時点の総体III」のように震災の記憶と深く関わるような作品も。

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また、リアス・アーク美術館によって被災地で記録・収集された資料による展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」は、史実と現実の標本箱として確固とした存在感を示していました。これはアートイベントにおいて、ミュゼオロジーが一つの作品として位置づけられている例として注目したいと思います。


現代アートのなかでもとりわけ「同時代」に生み出されたものについては、作品の視覚情報を網膜で認識するだけではなく、我々の眼前・あるいは作者の背景に広がる世界と重ねながら見ることが本当に重要だし必要だと思います-「二重露光」のイメージと対峙するかのように。ゆえに「現代アートって難しい」ことと「現代アートって面白い」ことは、実際にはひとつのものの両側面であると思うのです(もちろん作品にもよりますが)。


この日の会場は比較的混雑していました。
雨が降っていたので、街なかの会場を避けてこちらに来た人々が多かったのかもしれません。

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(つづく)










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2013年10月、あいちトリエンナーレをまわる旅の2日目。



この日は雨が激しく降っていたため、一日をかけてゆっくりと愛知芸術センターにある作品を鑑賞。このうち、同ビル内にある愛知県美術館を会場とした作品は、スケールの大きい展示室を活かした、見応えのあるものが続きました。


最初のスペースでは、北京を拠点に活動するソン・ドンの「貧者の智慧:借権園」が展示されていました。これは古い家屋の廃材や家具を使ったインスタレーション。「借景」と借用権をテーマにした作品で、作家はこれまでも貧しい人々の住空間・環境づくりに因んだこのような作品を展開しています。私が思ったのは、せっかくの異国での展示なので、眺めの良い窓を備えた場所て展示し、その素材の文脈とは離れた景色を借景としてみたらどうかしら、ということ…例えば、森美術館にある東京の景色が一望できる展示室みたいな場所とか。

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これに続く暗室に展示されていたのはコーネリア・パーカーの「無限カノン」。暗く、そしてかなり広いスペースの中央に、天井から吊り下げられた金管楽器が光を受けながら円環を創り、美しい眺めを生み出していました。しかしながら、よくみると楽器のひとつひとつは強い圧力によってぺたんこにのされていて、楽器としての命を喪った状態に。そしてそこには、暴力的な要素と、静謐さが見事に共存しています。

大規模なアートイベントでは、訪問者の気分はとかく忙しくざわついてしまいがちですが、その状態を一瞬にして鎮め、作品との対面に惹きこませる力を持っている作品だと思いました。


その後には岡本信治郎の朗らかな平面作品、ニッキ・ルナやアーノウト・ミックの社会派作品などが続き、やがてヤノベケンジによる祝祭的でキラキラな…ちょっとだけヤンキーっぽい作品が登場。ここでは実際に結婚式ができるようになっていて、この日も式の準備が進められていました。名古屋のハデ婚文化を意識したプログラムなのかしら?

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普段はコレクション作品展示さているスペースにも、トリエンナーレの作品が展示されていました。ハン・フェンはソン・ドンと同じく中国からのアーティストですが、こちらは上海を拠点に活動。天井から無数の箱を吊り下げることにより都市の風景のようなものを出現させていました。人がその側を通るとその群れは波打つように揺らぎ、まさしく今回のトリエンナーレのテーマ「揺れる大地」をそのまま表現しているような作品でした。

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青木文昭は宮城県出身で、現在も同地で活動。素材としているのは被災した物件から持ち出された家財道具などであり、作家はそれを修復することなく、別の「使えないもの」へとメタモルフォーゼさせています。それは具体的にはタンスが軽トラ(?)のような外見に変更されるといったようなものですが、実際には「これは軽トラではない」。言い換えればそれは「無理無理な擬態」であって、修復という行為も行っていないし、人に役立つものを生み出しているものでもありません。したがって、それを震災に因んだ作品として整然と解釈・説明することは非常に難しい。

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一方、そんななかで私が勝手ながら辿りついた感想は「芸術というものは、何かを修復するための行為でもなく、あるいは有用なモノを製造することが目的ではない。というか、もともとそういうものでは無かった筈である」ということ。ひいては、作品作りが社会的事象に隷属しきってしまうことへの自戒や警告のようなものを内包した作品なのかな、と…。

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(つづく)










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2013年の10月に2泊3日で訪問した「あいちトリエンナーレ」。
2日目は「栄エリア」の作品を見て回りました。

中心となる施設は、愛知県美術館も入っている愛知芸術センター。
この日はあいにくの雨です。


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宙に浮かぶ大きな水盤、オアシス21はこのエリアのランドマークのひとつ。
下から見上げてみると…今回もこちらには作品が展示されている模様。

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エレベーターで水面のレベルまで昇ってみると、そこには枠をともなったガラスが漂っていました。和田礼次郎の作品「ISOLA」です。真下から見た時にはくっきりとしたシルエットが認識できていたのに、実際に近づいてみると水と一体化して存在感が希薄になっているのが不思議に感じました。もし晴れていたら、日光を反射するなどして違った表情を見せてくれそうです。

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実はこの作品、カタログには次のような文章が掲載されています。
「近くから見ると空を映し出す人工的な幾何学形態であり、遠景では自然の波のきらめきに同化している」。
しかし、私が実際にオアシス21でこの作品を見たところでは、むしろこれとは逆の印象に近い。場所と環境に依ってのことかと思いますが、興味深いことだと感じました。



その後、屋内の通路を通って芸術センターまで。

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エントランスにて出迎えてくれたのはヤノベケンジの「サン・チャイルド」です。

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館内には至る所に黄色やオレンジによるラインが引かれていました。
これは宮本佳明の作品「福島第一さかえ原発」の一部。図面上で芸術センターの建物と福島第一原子力発電所を重ねあわせた上、原発の構造をこの線で表現することでその存在をここに仮設したものです。


地下のひっそりとしたスペースで上映されていたのはニコラス・プロヴォストの映像作品
外で雨が降っているせいかその場所はじっとりとしていて肌寒く、しかも暗い印象の作品だったので…なんとなく居づらくなってそそくさと退散。

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そのすぐそば、屋外に続く部分の床はだいぶ濡れていました。

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ここではレーニンを捜しているという貼り紙を発見。
出品作家、丹羽良徳からのお知らせです。

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続いては、同ビル内の愛知県美術館へ。


(つづく)









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