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コノキ・ミクオさんの個展(みゆき画廊)を見に行きました。

コノキさんは、私が小さいころからその名を知っていた作家さんで、それはなぜかというと、父がある日、この作家さんの作品を買ってきたからです。
我が家は決して裕福な家庭というわけではなかったのですが、たまに父が小さな作品(主に油彩画)を買ってくることがありました。花や静物のものが多く、母が季節に合わせて「展示替え」などをしておりました。
コノキさんの作品は、小さなイコンのようなガラス絵で、季節に関係ない内容だったためか、わりと長い期間、2階の廊下にかかっていたような記憶があります。
子ども心に「ヘタウマってこういうことなのか」と思っておりました。
数年前、この作家さんと偶然お会いする機会があり、それ以来ご案内をいただくたびに個展を拝見させていただいています。

どこからその製作のエネルギーが?というくらい、コノキさんの仕事の内容はすごい。
絵画、彫刻、版画、壁画に障壁画、ステンドグラスにモザイク。
千葉には美術館があります。私はまだ訪れたことがありませんが、ぜひ行ってみたいと思っています。


この日訪れた展覧会はこのほか、次の通り。
■「藤田良美展 「コミュニケーション」」ギャラリーなつか
■「金原優子展」ギャラリーなつかb.p
■「Day by day -新進版画家の現在-」ギャラリーゴトウ
■「秋山光男展」OギャラリーUP・S
■「滝口志保展」Oギャラリー
■「北川聡」ギャラリー21+葉
■「田村匡宏展」なびす画廊
■「松谷千夏子展」柴田悦子画廊
■「伊東三恵子展」藍画廊
■「安達知亨展」ガレリアセラミカ
■「森田順子展」ギャラリー山口
■「第35回 23人の会展」アートスペース羅針盤
■「エヴァ・ミタラ ポトトーキョー」村松画廊
■「井上直展」art space kimura
■「ブラン・ヴァン・ヴェルデ展」かねこ・あーと・ギャラリー
by paginademaiko | 2008-05-27 11:58 | アート
5月12日、京橋のart space kimuraで「井上直展」を見てきました。


強い電圧が走る電線や鉄塔、原子力発電所が、暗い空の下、灰色の荒野に点在するというかなり不気味な絵画。
そして、その大地の上には三途の川の渡し守(カロン)のような人物-ただし肉体は描かれておらず透明人間が白衣を着ているよう-が、小舟をこいでいます。
ただ、神話の中のカロンは、あの世とこの世を岸を行ったり来たりすることができますが、これらの作品のなかに描かれたこぎ手は、櫂をあやつろうとも水のないところで小舟をうごかすことができないでいるようです。

画面に描かれた世界は、人体にとって非常に危険なものが支配する土地だけれども、それを築造したのも人間ですし、なにより、我々はそこから生み出されるものなしに生活をすることは、もはや、できません。
そして作家は、小船のこぎ手を「からっぽの白衣」としてあらわすことにより、鑑賞者がおのずと自分をそこにあてはめてみたくなるような仕掛けをこの絵画の中にしつらえているように思えます。そしてそれはおそらく、我々は危険なものにさらされることから、もはや逃れることはできない状態にあるということを我々に悟らせるためなのでしょう。

信仰対象が「宗教」ではなく「便利さ」となった近代以降の世界に生きる我々は、死の世界と地続きで生きなければならないのです。



この週に訪れた展覧会はこの他、次の通り。
■「舟越直木 彫刻展」ギャラリーせいほう
■「沖村正康彫塑展」新井画廊
■「中田真央展」ガレリア・グラフィカbis
■「”かかわりのうちにつくる” 景山健 藤井功」GALERIE SOL
■「金指知世展 MAP CASE」ギャラリーなつか
■「久松温子展 -水景-」Oギャラリー
■「石ヶ森由行展 -熊いきれⅣ-」Oギャラリー UP・S
■「森村郁子展」なびす画廊
■「阿部真琴展」GALLERY b. TOKYO
■「Eriko Sone Exhibition」フタバ画廊
by paginademaiko | 2008-05-27 10:27 | アート
色が美しい作品というのは、素直に好きになれます。

ただし、この「色の美しさ」というのはとても微妙なもので。
鮮やかであればいいというわけでもないし、甘すぎてもいけない。

5月12日に見に行った次の展覧会では、とても美しい青色を見つけることができました。

■「アオゾラとガラス 小松謙一・藤森京子展」柴田悦子画廊
我々が「青空」と聞いて想像する青は、それぞれ、いつも同じ青ではないでしょうか。
しかし実際には、我々の頭上にあらわれる青空の青は、もっといろいろな青で…というよりも、おそらく正確には同じ色があらわれることはないのです。
小松さんと藤森さんは、普段我々が空を見あげるよりもはるかに丁寧なまなざしで空やその下に広がる空間をみつめ、美しいと思った瞬間の色や空気をすくいとって、それを作品に仕立て直しているようでした。

■「野見山由美子展」村松画廊
壁面全体に青い布がめぐらされ、こちらは空というよりも海。
それも暖かい南国の海です。
by paginademaiko | 2008-05-27 10:05 | アート
週末から、東京は肌寒い日が続いています。
家で机にむかっていると、猫がひざのうえに乗ってきます。

先日のギャラリーまわりは新橋方面から。
訪れた個展・展覧会は以下の通り。

■「横島庄司展」ギャラリー惣

■「石川展光展」 ガレリア・グラフィカbis
銅版画、ペンによる素描など。特に興味をひいたのは花が表され、そのタイトルに抽象的な言葉が冠せられていた一連の作品。
作家は、対象を見つめることにより、そのすがたや状態からオリジナルの寓意を紡ぎだし、それを作品のテーマに据えたうえで花という像(イメージ)を紙上に具現させているように感じました。
「寓意」が「花」というすがたをもって、我々の眼前に顕かにされる様子は、まるでひとつの本地垂迹のようです。

■「阿部アヤ展」ギャラリーなつか
■「米満泰彦展」ギャラリーなつかb.p
■「今井信吾ドローイング展」井上画廊
■「田中千鶴子」GALLERY 21+葉
■「原田浩二展」なびす画廊
■「平田星司展 INTERFACE -界面-」藍画廊
■「世界の片隅から 石川直樹展」INAXギャラリー2
■「Artland Japan」 アートスペース羅針盤
■「田辺修展」ギャラリー山口
■「小松順子展」ギャラリー山口
■「SOUND CREATORS LAB 2008」ASK?Art Space Kimura
■「エンク・デ・クラマー展」Oギャラリー
■「橋本さゆり展」OギャラリーUP・S

私はもともと大学で仏教美術を学んでいたのですが、上京して、社会に出てからは、現代美術にふれることのほうが多くなりました。そんな私が思うことを少し記してみたいと思います。

現代に生きる多くの人々にとって宗教美術は難解なものになってしまいましたが、しかし、宗教美術が世に生み出された理由には「布教」や「信仰心の表明」というものがあり、本来それは願いや思想を「わかりやすく」表現し、他者(神などの信仰対象を含む)に伝えるという機能を持っていたものでした。ですから、我々には見慣れない主題や、描きこまれた事物なども、それらの多くはその作品を眼にするであろう人々の共通認識を踏まえたうえで、表現されていたのです(勿論、当時でもごく一部の人にしか理解できあかったものもありますが)。
おそらく、宗教が生活に密接にかかわっていた時代、人々が同時代に生み出された作品の意味を理解することを理解することは、現代の我々が現代美術を理解することよりもはるかにたやすいことだったはずです。

私にとって、宗教美術と現代美術は両方ともそれなりに難解なものですが、その大きな違いのひとつに、「作品と鑑賞者の関係性の違い」があるのではないかと考えています。
宗教美術は、機能やメッセージが明確であるため、鑑賞者は作品から「一方的」に発せられる情報を、知識や法則というツールをもちいてキャッチすることになり、一方、現代美術については、作品と鑑賞者の間で「双方向」の対話がかさねられることにより、理解への可能性が開かれる。
つまり、前者の理解に必要なのは「知識をそなえること」であり、後者の理解に必要なのは「モノやヒトとの対話力」ではないかと思うのです。

あとはそれができる能力が自分にそなわっていればいいなと思うばかりなのですが…。
by paginademaiko | 2008-05-12 12:32 | アート
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