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青春18きっぷで桜をたずねて旅をしているときに、何度も頭のなかに浮かんでしまったポスターがあります。

2005年、東京都美術館の「アール・デコ展」で目にした「Japanese Government Railways」(ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館蔵)。

1937年に刷られた日本国有鉄道のポスターで、デザイナーは里見宗次。
画面を斜めに貫くレールの向こうに、茅葺屋根の民家と桜、そして遠方には小島の浮かぶ海景が配されています。

さかのぼること約20年、未来派宣言において「疾走するレーシング・カーはサモトラケのニケより美しい」と行い切ったのはフィリッポ・トンマーゾ・マリネッティですが、この里見のポスターにはスピード感とともに日本の美しい景色がきっちりと留められていて、日の丸が1937年という時代背景を如実に表現しているとしても、そこにはやはり優美な風景を愛する日本人らしいまなざしがあるように思うのです。
by paginademaiko | 2010-04-16 17:13 | アート
4月5日。
春の18きっぷおさめは、仕事の都合で月曜日となってしまいました。

多くの美術館はお休みのこの日。
いさぎよく、桜を訪ねる旅といたしました。
その数日前北関東(水戸方面)に向かった際、まだ桜はあまり咲いていませんでしたので、今回も照準は西。

雨の朝、東京駅を7:24発の東海道線で出発。国府津からは御殿場線に乗換えます。
最初の観桜地は神奈川、山北。山北駅前はすこしレトロな雰囲気でした。遠景を見遣れば山は霞に包まれており、その間に間に桜の姿がちらほら。美しい眺めです。

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桜の名所として知られるこの駅周辺では線路を見下ろすように大きな桜の木が植えられ、それは見事な眺めでした。しかし雨のせいか他に人影は見えず…。

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つづいて、山梨の桜を見るために久遠寺に向かいます。
沼津経由で東海道線に乗り、富士で身延線に乗換えました。

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富士宮では、となりの席に富士宮名物の焼そばを買い込んだ女性二人がやってきて、早速ビールを開けて、焼そばを楽しんでおられました。彼女達が手もとに広げていた旅の計画メモがふと目にはいってしまったのですが(失礼!)、そこには「18きっぷ」「富士宮」「甲府」「八王子」…の文字が、さては甲府でほうとう、八王子でラーメンを食べる「18きっぷでめぐる富士山一周麺めぐりツアー」でしょうか?私もやってみたい。

雨ゆえかすこし濁った色の富士川に沿い、列車は進みます。そして下車駅しましたのは身延駅。ここから久遠寺に向かおう…としたところお寺へのバスは約50分後。まわりには、その時刻表をみてがっかりしている人々が数名。結局、女性二人連れと初老男性ひとりと私、計4人でタクシーを仕立ててお寺に向かうことにしました。

久遠寺の三門は驚くほどの壮大さでした。そしてその奥には心臓破りで知られる「菩提梯」-287段の石段が。雨のなか、これに挑戦しました。一段の段差が大きく最初の50段ほどで腿に急激な疲労が…しかし、休憩を挟みながら上るうちにだんだんと慣れ始め、10分程で上りきることができました。階段の上で待っていてくれたのは大きな枝垂桜。素敵なご褒美をいただいたような気持ちになりました。

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このお寺の伽藍はたいへん立派なもの。多くの人々が訪れる堂宇は参詣地らしいにぎやかさがありましたが、廊下で結ばれた建物の中をめぐれば庭園、障壁画や欄間彫刻が美しい書院など静謐な空間にも出会えました。

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この境内には樹齢400年の枝垂桜の木があります。花の色は雨にぬれてすこし褪色しているようにみえましたが、それもまた枯れた幽玄さが。
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ふたたび身延線で南に戻り、富士駅でワムと写真を撮ってから東海道線で静岡へ。

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静岡では、駿府公園でライトアップされた夜桜を愉しみました。城郭建築の名残を残す東御門から入りましたが、その園内は意外と現代風。むしろ公園の外側からお堀沿いの桜を見るほうが、風情が感じられるかもしれません。西門はまるで桜の天蓋で覆われているようでした。

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もうすこし「18きっぷ」の期間が長ければ、北国の桜もこのように訪れてみたいものです。
去年に引き続き、4月はじめの週末は、アートフェア東京と観桜のための半日帰省となりました。

アートフェア東京-このイベントは出展者数がたいへん多いので、限られた時間のなかで一巡するためにサクサクと歩くことを心がけています。が、気になった作品について質問したり、いつもご案内をいただいているギャラリーの方々に挨拶したりしているとあっという間に時間が過ぎてしまって、時間がいくらあっても足りなくなるのは毎度のこと。

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そんななか新たに気になったアーティストとしては、次の方々を挙げたいと思います。
・Ryu Itadani (丸の内ギャラリー)
・Wang Ningle(ZEN PHOTO GALLERY)
・paramodel(MORI YU GALLERY TOKYO)
・石井鈴(大雅堂)

このほかChristopher Cutts Gallery Tront、KENJI TAKI GALLERY等々にも面白い作品がありましたが、残念ながらアーティストのお名前を控えるのを忘れてしまいました…(反省)。

午後2時頃会場をあとにして、その後は上野駅から高崎線で埼玉へ移動。桶川駅で母の運転する車にピックアップされ桜を尋ねて郊外へ向かいました。

最初の訪問地は「桶川市べに花ふるさと館」。こちらは旧家をリノベーションした文化施設です。併設のギャラリーでは木版画の展覧会が開催されていました。会場にいた作家さんと話しているときに目に入ったのは会場に置かれていた「大地の芸術祭2009」のガイドブック。作家の尾身伝吉さんの作品はこのイベントにも出品されていたそうで、話をするうちに自分も十日町でその作品を見ていたことが判明。十日町の作品はインスタレーションともいえるつくりであったため、桶川で額入りの木版画をみたときに同じ作家さんの作品とは気がつかなかったのですが、十日町で見た作品のことはすぐに思い出せましたので、思いがけず7ヶ月前に見た作品の感想を、ここで作家さんに直接に伝えることができました。

その後、銀杏の木に寄生した不思議な「銀杏桜」や、桜とともに鯉のぼりを見ることができる河川敷などを訪問。

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このあたりは梨の果樹園が多い地域で、その白い花が咲き始めているのを見ることもできました。
by paginademaiko | 2010-04-12 22:16 | アート
先日、仕事帰りに国分寺のギャラリーswitch point森本太郎さんの個展「メディウム/中庸と媒介」を見に行ってきました。

switch pointには以前から興味を持っていましたが、訪問したのは今回が初めて。
grafがデザインを手がけたという内装には、ホワイトキューブのような寛容さはありません。作品にスペースとの相性を要求するようなギャラリーだと思いました。

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しかし、このスペース、両者の呼吸が合えば訪問者に心地よい時間を約束してくれること、間違いなさそう。たとえば茶事における茶室と道具のように。

森本さんの作品は、ほとんどが新作で、ろうそくの光や風景などを素材とした作品が展示されていました。何を表現しているのか分かるものも分からないものもありますが、曲線に囲まれた色面どうしの接触や対話を眺めていると、そんなことはどうでもよくなります。

支持体側面に流れる絵の具があやなす「景色」もじっくりと鑑賞しました。

会期は 4月11日まで。
by paginademaiko | 2010-04-07 00:06 | アート
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