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青春18きっぷをつかい、9月9日から10日にかけて訪れたあいちトリエンナーレ。2日目のこの日も厳しい暑さです。

朝10時。栄の「オアシス21」からスタート。この日は18きっぷで東京に帰るため、名古屋に居られるのは午後3時頃までです。


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「オアシス21」に設置された草間彌生の作品。青空にピンクがよく映えています。


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水に浮かぶ彫刻を固定するのに使われているのは吸盤ハンドル。これ、美術館では展示ケースの大きなガラスを開けるときに使うものですが、このアイディアは美術館学芸員によるものでしょうか…?

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続いて、愛知県美術館の会場へ。建物の前にはこれも草間彌生デザインのプリウス。

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そのエントランスで訪問者を迎えるのは巨大な緑の物体。松井紫朗によるバルーンです。
複雑な形をしていて、全容をつかむにはかなり難しい。なんとかしてカメラに収めようと試みますがそれも無理な話で。

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展示室に入ると、まずは登山博文の絵画。かなり大きめのペインティング。その前日まちなかの建物や野外に設置されたインスタレーションなどをたっぷり見て、ここで平面作品がかけられている展示室に入った瞬間なぜかほっとしてしまったのは、美術館職員という職業柄でしょうか。

シプリアン・ガイヤールの映像作品もヴィジュアル的に悪くなかったのですが、やはり限られた滞在時間のなかでは映像作品というのはすべて見る事が難しい。

蔡国強の作品「美人魚」はさすがというべき完成度。水中をおよぐ女性と魚の姿をなぞることから始まるこの作品は、最後にその上で火薬を爆発させることにより完成に至ります。「火と水」というふたつの要素が結実した美しい作品。ただし、「水」に関してはすべてのいのちの源である一方、「火」はプロメテウスの火の如く人間のみが扱いうるとても危険なエレメントで-「原爆の図」を思わずには居られないことも確か。会場で上映されていたドキュメント映像がよく出来ていて、こちらにもしばし見いります。


フアン・アラウホは複製図版や写真を油彩で模写するアーティスト。今回その素材に選ばれたのは、愛知県の明治村に移築保存されている、帝国ホテルに関するカタログ。「模写」という行為が現代美術作品に採用されているのが面白い。

牛皮による巨大な偶像を出現させていただのはジャン・ホァン。偶像は足を伸ばして床に座っています。その表皮はまるでただれたたようにみえ、憐れな感じ。ひとりでこの作品を見ていると、美術館初心者風のおばさまふたりが後ろから展示室に入ってきた「いやぁ何これ~」と。


そしてこのおばさまたちは、続く三沢厚彦+豊島秀樹の作品で、熊の彫刻の鼻の穴に指を入れていました…。


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アデル・アブデスメッドは犬の骸骨を散歩させる少女たちの写真など、長者町会場に展示されていたヴィデオ作品に比べて、ややユーモアの要素が加わっている様子です。

床に立てかけられた状態で展示された志賀理江子の写真は、死の匂いが濃厚。その作品をすべて熟視するには、メンタル面での持久力が要ります。

そしてこの会場で最も印象に残った作品のひとつに挙げられるのは、フィロズ・マハムドによる、豆で覆われた戦闘機。社会派の作品ともいえるものですが、豆という小さなものの密集体というのはどこかコミカル。ここでは何種類かの豆が使われており、それぞれの豆の数が明示されています。たとえばみどりまめ354,270、くろまめ386,535…といったように。


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ちなみに、マハムドの作品は2006年の越後妻有アートトリエンナーレでも見ていますが、それも飛行機をテーマにした作品でした。


このフロアのエントランスには草間彌生の花。

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続いて、ひとつ下の階へ。こちらのエントランスにはエクトール・サモラのインスタレーション。

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映像や音を使った作品が多かったこのフロアも見ごたえがある作品がたくさんありましたが、もっとも気に入ったのがズリカ・ブアブデラのインスタレーション。その作品は、アラビア文化圏の「愛」とカーマ・スートラをテーマに、ネオンやスピーカー、映像によって構成されています。

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暗闇のなかに点滅するネオン。暗闇の中に響くビートの利いた音楽。映像の中ではアラビア文字を思わせる赤と黒の不定形が、絡み合う。そのとき自分が持っていたメモ帳をあとで見てみたら、「赤と黒は愛し合いセックスをしている」と書かれていました。

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(つづく)
あいちトリエンナーレ「長者町会場」のうち「長者町通」界隈では、作品がぎっしりと詰まったビルが続けて登場。既存の建物のスペースを使ったこのようなイベントは、建物の中に入ってみないとそのボリュームがわからないのが、その面白さのひとつとして挙げられるかもしれません。

「エルメ長者町」の1階にはトーチカの作品。そしてその2階には小栗沙弥子とアデル・アブデスメッドの作品。トーチカのポップなアニメーションは親しみやすいですが、階上のアブデスメッドの映像は、蛇や毒グモ、犬やニワトリがお互いを攻撃しあうという耐え難い内容、脳裏に焼きつきちょっと気分が悪くなりました。

「スターネットジャパンビル」には1階から屋上まで渡辺英司の作品および、トーマス&ローリー・クラークとのインスタレーションが展示されていました。このビルでの展示は、長者町会場でもっともクオリティが高いという印象。

まず圧倒されるのは、蝶が壁や天井を覆う空間。どうやらその蝶たちは図鑑から羽ばたいたもののよう。

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さらに階上に進むと、小さな国旗のつらなりが、千羽鶴のように束ねられたものが吊り下げられたインスタレーションがありました。

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そして床には、旗の一部を切り取ったものが散らばっています。

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この作品には、はっきりとした既視感が…もしや先刻見た伏見地下街での国旗を使った装飾となんらかの関係があるのでしょうか…?(ないような気がする…)

参考図版:
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屋上には朽ちつつある小屋、そしてネオンによるヘリポート。ビルの屋上ってなんだかワクワクします。フェンスに引っかかったトリエンナーレの旗にはノスタルジックな味わい。褪せたピンク色が哀しげ。

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続いて、ルシア・コッホの日よけが目印の「長者町繊維会館」へ。


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ここでは北川貴好による電球集合体が良かったです。これは、かつて地域で用いられていた電球を使い、つなぎ合わせて大きな球体としたもの。


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そしてナウィン・ラワンチャイクンの絵画はソサエティーへのまなざしにアジア人らしさが感じられる作品として記憶に残ります。しかし、このビルの全体的な感想としては展示がやボリューム過多でごちゃごちゃした印象、建物そのものが持つノスタルジックな渋さがちょっと安っぽい感じになってしまたのがやや残念に思えました。

その後、長者町会場の作品を7割ほどまで見たところで、体力の限界。栄にとってあるホテルに一旦戻り、シャワーを浴びて栄養ドリンクを飲んで、午睡。

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日没後、ライトアップされたテレビ塔と草間彌生の作品を見て、友人と「オアシス21」で待ち合わせて軽く呑み。夜遊びの前後に作品を見ることができるのも、都会のアートイベントの良さ。


(つづく)
あいちトリエンナーレ、長者町会場の作品を半分ほど見たところで「純喫茶クラウン」へ。
こちらのお店の中には、浅井裕介の作品があります。


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作品は、さりげなく壁を這い、そしてややアボリジニ風。
懐かしいかたちのグラスでアイスコーヒーを飲みながら、それを眺めます。


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グレーの髪をきっちりと纏めたマダムは、オードリー・ヘップバーンを思わせるモダニズム美人。

まちなかアートの探訪の間に訪れるのにとてもちょうど良い、オアシスのようなお店でした。


(つづく)
「伏見地下街」で昭和のムードに酔いしれ、その後地上に出ればひきつづき残暑厳しい午後の名古屋。アートをもとめて長者町問屋街を歩き続けます。

「錦2丁目ビル」の壁面に貼られていたのはメルヴェ・ベルクマンによる巨大な写真。なんでそんなにクールな表情で居られるのさっ!て思うくらい灼熱の問屋街には不似合いな写真。しかしよく見ると、写真の中に入り込む日差しの角度と、ビルの壁面に残る隣家の「屋根の痕跡」の角度がリンクしている気が…?

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「万勝S館」にはフロア毎にそれぞれインスタレーション。ジンミ・ユーンマーク・ボスウィック市川武史の作品。

暗室仕立てのなかにオーロラみたいなカーテンが垂れる市川武史の作品は、もっと建物本来の雰囲気とリンクした設定にしてもよいのではないかと思いました。六本木ヒルズのショッピングエリアに展示されたときなどは、夜遊びの人々がその中で渦を巻くように回遊していて、とてもよかったですし。

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ここの1階はカフェ&ショップになっていて、ようやくここで公式ガイドブックを入手。それからトリエンナーレのロゴによる金太郎飴を発見して、つい購入してしまいました。もったいなくて、お口に入れないまま終わりそうですが。

それから、「八尾吉ビル」の1階店舗のガラスを支持体とした、佐藤健博のさりげな~い作品を見て、「旧玉屋ビル」へ。立地面積の小さいこのビルのなかには、面白い作品がギッシリでした。

1階と2階には山本高之による映像・インスタレーション。この作品は、名古屋市美術館に勤務する友人が良いといっているのを事前に聞いていましたが、納得。1階で目にしたのは子どもが作り出した「いろいろな地獄」の展示と、作った本人がその「地獄」についてトークしている映像の上映。展示室を暗くすることによってそれらが一層かっこよく見えました。「子どもの表現はこうあるべき-純真で、のびのびしていて」といった大人の幻想みたいなのがあっさり切り捨てられていて、それがとても気持ちよく感じました。2階の映像は子どもたちが動物園の動物の前で、ロシア民謡「1週間」の替え歌を歌うというもの。替え歌の歌詞の内容はその動物の一週間の暮らしを表現したものとなっていて、動物に対する観察と想像力が適当に反映されていて面白かったです。いろいろな動物の前でこれらの歌を歌わなくてはならない子どもたちが、辟易したり、落ち着きなくなっているのも見所のひとつ。

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さらに上の階は住居風の間取りになっており、そこには小栗沙弥子の作品。紙粘土による中途半端な造形が空間を埋めていたり、壁面や窓(サッシやカギにいたるまで)にガムの包み紙が整然と貼られていたり…。

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踊り場に展示されていた青田真也の作品はとても気に入りました。既製品の家庭用洗剤の容器を使ったもので、その表面を紙やすりでこすったもの。ガイドブックにはこの作家の作品に対して「量産品の記号性を剥奪しつつ個性を与える」という説明があります。レディメイドな素材をもちいたポップな姿と、適度にコンセプチュアルなところのバランスがちょうどいい。


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(つづく)
あいちトリエンナーレの長者町会場の近くで立ち寄った「伏見地下街」。
すばらしく面白いところでしたのでここで言及しておきたいと思います。

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一言で言うなら「昭和」。時間が止まっているような世界がそこには在りました。

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ショーウィンドーに飾られたグラビヤに、手書きのポスター。そんななか、熊谷守一の作品までかかっちゃってる。


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そして、壁に貼られた飾りは、万国旗を切り抜いたもの。これ、作品…?でもキャプションが見当たらない。

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しかしひどく物騒なものですよね、これって…。他の国の旗とかって、刻んだりしちゃいけないんじゃないかなあ…。

薬局に理容室もやはり昭和な感じ。店員さんやお客さんまで昭和人に見えてくる。

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階段を上ると、そこは21世紀でした。

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(つづく)
あいちトリエンナーレ、訪問1日目。名古屋市美術館を出て、いよいよ長者町会場に散在する「まちなかアート」を訪ねます。

…とその前に、もうお昼時を過ぎていることに気づいてランチをとることに。そして名古屋でランチといえば「コメダ珈琲店」です。「カフェ」ではなく「喫茶店」風の雰囲気、豊富なフードメニュー、そして厚手のコーヒーカップをはじめいたるところに見られるロゴマーク。お店の中では、どうにも、おのぼりさんらしくキョロキョロしてしまいます。

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この日は注文したフードは「ハンバーガー」。運ばれてきた瞬間「…えっ」と思ったのは、その直径が一般的なハンバーガーの2倍以上はあったから。これで380円は安い。

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コメダで栄養補給をしたところで、さていよいよ作品探訪へ。
作品の目印はビルの入り口に掲出された正方形のサインです。
まず訪れたのは「二葉ビル」の1階にあるガレージに展示された、梅田哲也の作品。

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この作家の作品は、最近だと大阪のサントリーミュージアム天保山で見て以来。そのときにはあまりぱっとしない印象でしたが、今回も同様。ただ、展示室よりもこのような日常空間のなかに置いてみるほうが面白いタイプの作品だとは思いました。

続いて、中央広小路ビルへ。こちらで見たのはジム・オヴェルメンアーヒム・シュティーアマン&ローランド・ラウシュマイアーピップ&ポップそして木村崇人の作品。

オヴェルメンの映像作品は悪くなかったけれど、限られた時間をまわるなかでは映像作品というのはやっぱり分が悪いなと思います。

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ピップ&ポップはカラフルな粉をつかったインスタレーションで、女子中学生が好みそう。光の習性を利用したかわいらしいインスタレーションを展示していたのは木村崇人、でもこのシリーズを体験したことがある人にとっては、もうすこし目新しさがほしかったかな。

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その後は、街角に設置されたダヴィデ・リヴァルタの白馬をみつつ、繊維問屋街である長者町の中心部へ…。しかしその前に私は、とても魅惑的な場所を見つけてしまいました。

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(つづく)
9月上旬。青春18きっぷを使って名古屋に行ってきました。目的はあいちトリエンナーレ。1日半をかけての訪問で、全体的に急ぎ足になってしまいましたが、以下、何回かにわけてレポートいたします。

前日のうちに名古屋入りして、その翌日。最初に訪れたのは名古屋市美術館です。黒川建築のファサード部分には、エクトール・サモラのハンモック。

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この作家の作品は、昨年ヴェネツィアで飛行船型のバルーンを使ったものを見たけれど、その空間へのアプローチの仕方が、したたかだけどユーモアがであるところがなんとなく好き。
(下記図版はヴェネツィアビエンナーレ2009にて撮影)

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こちらの展示はオー・インファンによるお香を使った作品から始まりました。お線香のような青緑色のお香の粉が敷き詰められ、そこにはやはりこの粉を盛り上げることによってさまざまな文字が表現されています。それは砂によるチベットの曼荼羅を連想させました。文字は火をつけることによって少しずつ灰になっていく仕組みになっています。表現されている文字の意味は理解できないのですが、メッセージが時間をかけて煙となって天に昇っていくということから、この作家が言葉というものに聖性を強く認めているということを感じさせました。

その後に続くのは、機械部品と発光ダイオードによって作られた様々なかたちの塊が、暗室に深海魚のように生息するホアン・ス・チェーの作品。

トム・フリードマンは身近にあるものを使って人間のイメージなどを表現、どちらかというとおバカ系の作品。消しゴムのかすとかを使うあたりなんかは日本人でいうと小沢剛さんあたりを思い出しましたが、この作家も小沢さんも同じ1965年生まれ。そういえば、最近「昭和40年会」はあまり活動をしていないようだけど…。


そして登場した塩田千春の作品は圧巻。赤い液体が内部を流れる、夥しい数のチューブが2階部分から瀑布のように垂れ下がる。美しいけれども怖い。それは、赤い液体が「血」を思わせるから怖いのではなく、おそらく身体から隔離された状態の血(を思わせる液体)がこれだけの質量で循環していることが、怖さを感じさせるのだと思います。「身体の不在」を表現することでは抜群の表現をもったこの作家らしい作品。

1階部分の多くのスペースを割いていたのはクー・ジュンガの「エロティック・スペース」。
マットとティッシュ、それにモニターが置かれた怪しげな小部屋がたくさん並んでいます。

続いて、展示室を2階へ進みます。ジェラティンははっきり言って期待はずれ。このフロアは1階部分にくらべてややインパクトの弱い作品が続きますが、最後にあったラクウェル・オーメラの映像は、やや色あせた映像と影絵によるコラージュのような映像が印象に残りました。

地下の展示室には、三河湾にある島の漁業をモチーフにした島袋道浩の作品。生きたタコを使ったプロジェクトもありました。タコは、海底で様々なものを集めて溜め込む習性があるそうですが、その審美眼に着目した点が面白い。この作家の作品は浮遊感とかゆっくりとしたスピードというものを感じることが多いけれど、これもそんな作品。

美術館の建物を出てみると、今度はサモラのハンモックが先ほどとは違った角度から見えました。青空に、白い建物に、赤いハンモックのコントラストが大変魅力的。祝祭のムードを盛り上げるのにぴったりの作品です。


そしていよいよ、まちなかの会場へ。


(つづく)
9月最後の土日、我が家にドイツからのお客様がやってきました。
家人がホームステイの受け入れを志願したためです。

ゲストは、文化庁が行っている日独交流制度を利用して来日したドイツの美術教育関係者、おふたり。1泊2日という短い日程でしたが、このような形で国際交流のお手伝いをするのは初めてのことです。

って、我が家にドイツ語を話すような人は誰もいませんけど、どーすんの…?

緊張感いっぱいで迎えた受け入れ当日。ゲストとは、滞在先のホテルで初めて対面しました。金髪で背の高い女性と、青い瞳が美しいチョイワル風のオジサマ。とりあえずドイツ語で挨拶だけして、あとは英語で会話。

この日は、スーパーマーケットを見学して、夕飯は手巻き寿司大会となりました。
翌日は、上野駅からスタートし、おもちゃ屋さん、アダルト映画館(外観だけね)、不忍池の弁天堂、湯島天神で神前結婚式を見て、その後は埼玉大学の学生たちと合流して谷中アートリンクへ。


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そして、夜は使節団とすべてのホストファミリーによる夕食会。


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自分にとって、これまでドイツはあまりご縁のない国だったのですが(私の第1外国語はスペイン語、第2が英語、第3がフランス語)、これを機に、いっきに親しみを感じる国になってしまいました。

そして今回の出来事のなかで最も驚いたのは、初日の夕食時、モノリンガルな私の両親の好奇心に火がつき、彼らにたくさん話しかけ始めたこと。そして、そこで私は生まれて初めて、「通訳」というお仕事をすることになってしまったわけです…(注:普段自分のまわりにはバイリンガルもしくはトライリンガルの方ばかりのため、通訳をお願いすることはあったとしても、お願いされることはない)。高校生のとき、英語専修の課程に在籍しながらも、その後は日本美術にはまり、そのまま大学院まで平安時代の美術を研究していた私。高校の時に学んだ英語は、中途半端なままで、その後はあまり使うこともありませんでしたが、それがかつて無いほど活かされたがこの夜。少しは親孝行できたかな。
中野電車区の公開の抽選に当たったのだけど、一緒に行ってもらえないでしょうか…というお声がけをしてくれたのは、14歳の少年。

たしかに男の人にお誘いして頂くのはとても嬉しいし、イベントの内容にも興味があるし、でも年の差が…しかし、なぜか保護者からの後押しもあり、その少年とふたりで中野電車区に行くことになりました。

親子と思われたらショックなので、念のため普段よりも若作りにして…。

朝10時15分。少年と中野駅で待ち合わせして、徒歩で中野電車区へ向かいました。彼は特にJR東日本の普通列車の車両が好きとのことで、系統とか番台にものすごく詳しい。聞きなれない言葉がポンポン飛び出してきて、オネイサンは会話についていくのが大変でしたよ。でも、その表情の活き活きしていることといったら…。彼は優秀な学校の生徒さんなので、将来はきっと日本の鉄道を担う素晴らしい人材になってくれることでしょう。頼もしい限りです。

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今回のテーマは「働く電車大集合!」。

開場して、まず向かったのは「レールスター」の試乗体験。「レールスター」は軌道用の自転車のことです。左右に二人乗りで、パープル色の本体に、「札の辻号」というヘッドマーク付き。家族づれを中心に人気を集めており、30分ほど並んでから乗りました。こぎ出すと、その乗り物はレールの上を滑らかに進行。頑張ればスピードは40キロくらいまで出るとのこと。地方の廃線を利用して、これをこぎながら風景を楽しむというアトラクションを作ってみたら、意外とヒットするかもしれないと思いました。近代遺産がとても注目を集めている昨今ですし、それにとってもエコ。


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それから、「マルチプルタイタンパー」と「バラストレギュレーター」の実演を見学。前者はレールの歪みを補正するために、線路に敷かれた石(バラスト)を付き固めたりする車両、後者はその後ろを追いかけながら、バラストを補充していく車両です。いずれも「低騒音型」と車体に書いてありましたが、ものすごい大きな音が出ます。これらはオーストリア製の機械ということで、よく見てみるとドイツ語の表示も見られました。


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続いて、East i_E、115系の訓練車などを鑑賞。

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そして、それぞれの先頭部分が一望できる撮影スポットに行くと、そこは中央線の線路を走る列車も一緒に撮影できるという素晴らしい環境でした。手元に持っていた時刻表を参考に、「あずさ」の通過時刻を割り出し、その時間に合わせてカメラを構える少年と私。

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まずは、「上り」-新宿方面(画面手前)へ向かう「あずさ」を入れて撮影。

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つづいて甲府方面(画面奥)へ向かう「下り」の「スーパーあずさ」がやってきました。先頭部分が並ぶ瞬間を収めたい!シャッターチャンスを狙います。ところが…

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「あーっ(泣)」
下り方面の中央線普通列車が、その手前を見事にカット・イン。

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「やられた~!」と、もうここは笑うしかない、ということで、妙に盛り上がってしまう我々なのでした。


また、今回のイベントでも制服の試着コーナーがありましたが、やはりチビッコ用のみ。強引に試着を試みようかと思いましたが、中学生同伴の手前、そのような大人気ないことは出来ず。

この日は私としては珍しく駅弁を購入してみました(鉄道旅でのお食事は駅弁よりも駅そば派のため)。美味しかったけれど、機関車をかたどった玉子焼きが横倒しの構図になってしまうのがちょっと残念でした。マスの使い方に尚ご一考お願い申し上げます、NRE様。

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この日、縁あって少年と鉄道イベントに訪問することになった私ですが、そこでつくづく感じたのは、鉄道ファンの層の年齢的な幅広さ。私は美術館職員なので、つい美術の世界と比べてしまうのですが、たとえば、この日同行したような年齢の少年が、美術の知識をこれほどまで豊富に持っているケースなど、ほとんど考えられません。雑誌「鉄道ファン」などの投稿をみても、10代前半の読者による投稿の文章の、なんとしっかりしていること。

そしてこのようなイベントに参加する家族連れの多さについても考えさせられました。休日の美術館の来館者における親子連れの割合を考えると、この種のイベントとは比べ物にならないくらい少ない。

鉄道関係の施設と美術館の訪問をセットにしたファミリー向けツアーでも考えてみるかなあ…。ぽっぽやさんと学芸員のコンビが率いるツアー。両者をうまく関連付けるにはかなり無理がありそうですが、鉄道関係者の皆様、いかがでしょうか?よいアイディア・意見がありましたらよろしくお願いいたします。


追記
午後は仕事のため鎌倉へ。この時期の鎌倉駅では、日中の間、団体臨時用の列車が留置されています。この日はみずいろの183系でした。

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9月12日。「関内外!OPEN」に行ってきました。

このイベントは、横浜・関内地区周辺の建築事務所やデザイナーのアトリエ等を公開するというもの。この地区には歴史的建造物も多く、モダニズム建築の鑑賞もかねて出かけてきました。

まずは桜木町で下車。野毛地区にあるオフィスやアトリエ等を訪問。最初に向かったギャラリーは、かなりひっそりとした場所にありクエスト感が盛り上がります。

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お昼ごはんは威風堂々な西洋建築をハコとした神奈川県立歴史博物館のティールームで。いかにも手作り風の、できたてサンドイッチが美味しかったです。量が少なめなので、食事としては物足りないと思う方もいるかも知れませんが、展覧会を見て小腹が空いたときに頂くのにちょうどよいかも。

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その後、馬車道駅ちかくで友人2名と合流。その後いくつかの事務所やアトリエをたずねましたが、一部をのぞいてイベントらしい賑やかさはあまり無く、日曜出勤の社員が留守番をしているようなオフィスに顔を出しているうちに、だんだんと寂しい気分に…。しかもチラシを見て期待して行ったセグウェイの試乗体験は行われていない様子。中止の理由も告げられずオフィスに電話をしても誰も出ず、テンションは著しく下降。

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運河に面したBankART NYKのテラスで、飛び跳ねる魚をみながら午後のひと時を過ごし、最後は本町ビルを訪問。こちらの建物には建築・デザイン系のオフィスが多数入居していてそれぞれ食べ物を用意してパーティーをしていました。ここでは、いくつかのスペースでは嬉しい発見や出会いがあったものの、全体的になんとなく開放感が感じられなかったのは、自分が建築関係者ではない所為でしょうか。このイベントで来てほしいターゲットはいったいどのあたりなのでしょう?

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普段入れないような建物の中にも入れたので、個人的には行ってみて良かったと思っていますが、来年も行くかどうかについてはちょっと微妙。暑い中、半日付き合ってくださった方々、ありがとうございました。
by paginademaiko | 2010-11-24 07:54 | アート
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