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5月9日。


この春、銀座線に投入された「1000系」を見てきました。
この車両自体は最新の技術が導入された新型車両ですが、外観は1927年に上野~浅草間で開業した当時のデザインを復刻したものとなっています。


これは、美術史的見地から見てみると、あまりにも有名な杉浦非水のポスターに描かれた車両ということになります。


上野駅で待つこと数十分。
ビビッドなイエローの車両がやってきました。

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浅草までわずかな区間ですが、乗車してみました。

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一言でいうと「車内がとても明るい」。LED照明を採用したとのことで、明るいだけではなくかなりフラットな感じでした。

ただ、ちょっと白々しすぎる感じがしたので、個人的にはもう少し赤みがある照明のほうがいいかな、と…。


浅草到着後、浅草寺界隈を少々散策。

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開業を目前に控えたスカイツリーの姿も、見え隠れ。

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帰りはつくばエクスプレスで帰宅。

浅草の仲見世やその周辺には、懐かしい昭和の風景が残っていて、なかにはちょっとナンセンスな感じのもの多々あったりするのですが、その一方で最新のものもすぐそばにある。
それが浅草の面白いところなのではないかなと思います。

短い時間でしたが、近代と現代の東京に思いをめぐらせた小さな旅となりました。
4月21日。

所用で埼玉県の行田まで行くことになったため、その後、秩父鉄道の旅を楽しむことにしました。


北千住からは東武線の快速列車で東武動物公園まで。
この車両は行楽気分を盛り上げるボックス仕様なので、とても気に入っています。

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羽生で、秩父鉄道に乗り換えるために下車。
接続列車の時間まで間があったので、羽生の街を少々散策。

商店街は少々寂れ気味でしたが、ノスタルジーが至るところから湧き出ている感じがなかなかいいなと思いました。実際には見ることができませんでしたが、知る人ぞ知る伝説のホルモン焼き屋さんもこの界隈の路地の奥にあるとか。

お洒落モダニズムな壁画がある建物を発見。
そして、その傍らには「場内くわえたばこ厳禁」のサインが。

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この建物の用途は工場なのでしょうか?では、このガーリーな雰囲気の壁画は一体…?謎は深まるばかりです。

羽生からは秩父鉄道の7000系電車に乗りました。

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そして東行田駅で下車。

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こちらで所用を済ませた後、今度は水色の1000系に乗りさらに西へ。
これは熊谷どまりの列車でした。

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この日は、出発する時には知らなかったのですが、実は蒸気機関車「パレオエクスプレス」の今シーズンファーストランの日でした。

私の乗った列車が熊谷駅に到着したのは、その発車式典の直後であったらしく、ホームではその後片付けが行なわれていました。

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ここで、その出席者のひとりである、行田市のキャラクター「ムジナもん」と会えたので、一緒に写真を撮ってもらいました。

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熊谷からは、後続列車である「急行しばざくら」に乗車。急行料金が200円というのは嬉しい。

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熊谷発車時には車内は混雑していましたが、長瀞を過ぎ、秩父を過ぎ、終点の影森に着く頃には車内はほとんど閑散とした状態になっていました。

ここには貨車が留まっていました。

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ここからは、2駅ほどウォーキングをしてみることにしました。

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駅を出て間もなく、ツクシがニョキニョキとたくさん生えている場所を見つけました。
ツクシは久しく食べていないけれど、その味はホワイトアスパラガスに似ていて、なかなか美味しいと思います。

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線路沿いを歩いていると、あちこちで、列車を撮影しようする人々の群れを見かけました。
たしかに、秩父鉄道の線路が通る場所は起伏に富んだ地形も多く、撮影する人にとっては魅力的な場所のように思えます。

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様々な春の花たちに彩られた秩父路を1時間ほど歩いていると、武州中川駅に到着しました。

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この駅前には、農産物の直売所や、手打ちのおそば屋さんもあります。

まず、直売所で地元で取れた芹や蕨、椎茸、玄米などを購入。

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そして、おそば屋さんでは盛りそばと天ぷらを頂きました。

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ここから再び「乗り鉄」に復帰。
三峰口行きの列車に乗りました。

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乗客は鉄道ファンの割合が高そう…と思いつつ、車窓を眺めていると、終点の三峰口駅に隣接した秩父鉄道車両公園にも多くの鉄道ファンの姿が。もはやお祭状態。

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公園に保存されている客車や、アメリカ生まれの青い電気機関車も桜の花に彩られていました。

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味わいのある駅名看板。

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往路はせっかくなのでパレオエクスプレスに乗ってみることにしました。
自由席に座るため、駅前に伸びる列に並びます。

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そしていよいよ乗車。

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この日のC58にはファーストランのヘッドマークの日の丸が掲げられていました。

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出発すると、いたるところでこの列車をカメラに収めようとする人々の姿が見られました。多いところでは数十人の人が集まっているような場所もありました。

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なお、いちばん笑ってしまったのは、建設中の住宅の屋根で、職人さんたち全員が、仕事そっちのけで携帯のカメラをこちらに向けていた場面。


なお、私は沿線で、一眼レフを構えて列車を持つ「撮り鉄」さんのことを、ひそかに「スナイパー」と呼んでいるのですが、この日はまさしく「スナイパー」と呼ぶに相応しい状況を至るところで見ることができ、その度にニヤっとしてしまいました。


川合玉堂の絵画のような、春の渓流。
その河畔に立つのもスナイパーさんでしょうか。

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あるいは、菜の花が咲き乱れる土手を「きれいだな…」と眺めていると、その中に潜んでいたり。

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ところで、秩父鉄道は貨物輸送に関する車両をあちこちで目にすることができるのも、楽しみのひとつです。

例えば、影森のヲキフ。

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秩父の古い貨車。

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武川駅にはいつも機関車が留まっています。

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熊谷駅に近づくと、こんどはパレオエクスプレスの回送用に使われる電気機関車や、茶色塗装の電気機関車を見ることができました。


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都心から比較的近いところにありながら、貨物輸送もSLの運転も行なわれているという秩父鉄道。車両のバラエティーさもさすがです。


この日は熊谷駅のホームで待っていてくれた家族と合流。



パレオ君とパレナちゃんがいたので、一緒に写真を撮りました。
…って、全然カメラ目線ではない私。
一体何を見ていたのか?

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続いて、機関車とこのお2人を一緒に撮影…しようとしたのですが、ちょうどその時JR熊谷駅の構内に国鉄色の特急がやってきたため、そちらに意識が向かってしまい、パレナちゃんが半分しか写っていない写真になってしまいました。パレナちゃんゴメンナサイ。

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熊谷駅でも様々な車両を見ることができます。

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パレオエクスプレスが回送されたあと、再び東行田へ。

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駅の近くで、様々な椿の木が植えられたお宅を見つけました。
根津美術館でこの春公開されていた「百椿図」を思わせるようなお庭でした。

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駅から数分のところには、古い町並みが残っている一角があります。

酒造会社の大店。

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インパクトある幟が下げられている薬局。

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この日のディナーは、酒蔵をリノベーションした日本料理の店「はす蔵」で頂きました。


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そして帰りも東武鉄道で帰りました。
美しい花を見て、鉄分をたっぷり補給して、素敵な春の一日でした。



…ところで、リュックサックにはその外側にゴム紐が靴ひも状に付いている事がありますが、
アウトドア派ではない私はその機能がよく分からないまま使っていました。
しかし、この日は、長くてリュックの中に入りきらないネギや山菜をここに挟むという活用方法を発見しました。

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納得!
4月19日。

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この日は、模型好きの知人が、鉄道好きの友人たちとジオラマを貸しきって運転会を行なうというので、お邪魔させていただくことにしました。

場所は秋葉原のポポンデッタというお店。

なお、私は鉄道が好きですが、模型には詳しくなく、模型屋さんにもあまり行ったことがありません。

せっかくなので私が唯一持っている車両「コキ」を持参したのですが、これは「貨車」なので、それだけでは走らせることができません。そこで、参加者の方が持参した貨物列車の最後尾に連結させていただきました。

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自分の持っている模型を実際に走らせたのは初めてのことで、たいへん嬉しかったです。



親バカのようにいろいろな角度から写真を撮ってみましたが、しかし、走っている模型を撮影するというのは、はなかなか難しいことが分かりました。私はもうすこし勉強が必要そうです。

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ところで、模型と写真の関係というのは、ちょっと考えてみるととても面白い。

現代アートに関していうと、例えば実際の風景を「模型のように撮る」本城直季氏や、博物館のジオラマを被写体とする杉本博司氏の作品などが思い浮かびます。


模型と写真には、それぞれ「実際に存在するものを、人工的な素材や技術を通して再出現させたものであり、スケールの操作が可能」という共通点があります。この二者が作品のなかで反響し合うことでそこにアートとしての面白さが生まれるのは、元来、互いがそんな共通点を有しているゆえかもしれません。
4月17日。

午前中、北鎌倉駅から鎌倉駅まで歩いてみました。

のんびりとした雰囲気の北鎌倉駅の改札。

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駅のそばにある、緑色の池。
桜の花びらがたくさん浮いていました。

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湘南新宿ライン。

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あちこちで花吹雪を見ながら、神奈川県立近代美術館 鎌倉別館、そして神奈川県立近代美術館 鎌倉へ。


平家池では、睡蓮の葉が水面に現れ始めていました。

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4月16日。

この日は、常磐線各駅停車で小さな小さな旅をしました。
降りた駅は、亀有と我孫子。

亀有では、千代田線の車両と貨物列車の写真を撮りました。

例えば、お気に入りの6000系。

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停車中の233系のむこうから飛び出してきたEF510の撮影にも何とか成功。

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ホーム端のすぐ下にはスミレがたくさん咲いていました。
でも、スイガラがたくさん落ちていたのがとても残念。

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最近、「ひたち」に導入されたE657系。

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こちらはE653系。

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6000系の向こうからあらわれたEF81。素敵な組み合わせ。

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その後、我孫子へ移動。


我孫子では、先日初訪問した際に上手に食べることができなかった弥生件の「からあげそば」に再挑戦。

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この日は、先達のご教示どおり、注文時に「麺は固めで」とお願いしました。
おかげで、から揚げを食べている間に麺が伸びてしまうリスクを減らすことができました。

今度はお腹を減らして「からあげ2個のせ」に挑戦してみたいものです。
4月14日。

4月から通勤電車に乗る時間が早まり、車窓の眺めも少し変りました。
この日は戸塚~大船間で貨物列車を目撃。

とっさに写真をとってみたら、ちょっとアートっぽい一枚になりました。


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ちなみに、写っているコンテナはJOTつまり「日本石油輸送 Japan Oil Transportation」の私有コンテナですが、「ジョット」という響きから、そのロゴを見るたびに私はルネサンスの先駆者「ジョット Giotto di Bondone」を思い出してしまいます。


パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂、行ってみたい!
4月11日。

球根から育てたムスカリが、ベランダで花盛り。

真っ赤な、「レインボー専用機」のEF81が単機でやってきたので、ともに写真に収めてみました。

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ちなみに、ムスカリの語源が気になって調べたら、香料の「ムスク」とのこと。
そこで早速花を近づけてみたら、とてもいい匂い。
何本か摘んで、テーブルの上に飾りました。

夜、買い物のために外に出たら、雨の中、八重桜が7分咲きに近づいていました。

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八重桜は、染井吉野みたいにみんなが待ち焦がれる桜とはちょっと違うけど、その花吹雪の貫禄は、ひとえの桜では及ぶべくもない壮観さがあります。自分のなかで覚えておきたい場所。
4月9日。
春の18きっぷ、ラスト1回分を使って、全線が復旧したばかりの身延線に乗ってきました。


まずは東京駅を7時24分に発車する「185系使用の普通列車」に乗車しました。

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定期圏内の大船駅を過ぎると、徐々に気分は旅モードになってゆきます。
平塚駅を出ると、まもなく右手には相模貨物駅が見えます。

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東京駅から乗車した列車は熱海から伊東線に入るため、ここでさらに西を目指すためにJR東海の車両に乗り換え。長い丹那トンネルをぬけて一つ目の駅、函南では駅前の桜が満開でした。

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沼津を過ぎると、周辺には工場が散見されるようになります。

螺旋状の階段がデコラティブにまとわり付く…煙突?それとも何かの塔?手前に桜。

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青空に、赤と白がくっきりと映える煙突からは煙がモクモク。

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吉原駅で、岳南鉄道の車両を見て気分は一瞬盛り上がりつつ、しかし貨物輸送はこの3月に廃止されてしまったのかと思うと、ふと寂しい思いが。

そうこうしているうちに富士駅に到着。
タイトな乗り換え時間で甲府行きの身延線に乗車しました。

途中、甲斐大島駅で対向列車との行き違いのためしばしの停車。

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しばらく待っていると、少々の遅延で373系「ふじかわ」がやってきて、あっという間に通り過ぎていきました。

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甲斐大島駅を定刻より少し遅れて出発したのち、次の身延駅でも少々の停車。

駅では「駅そば」を発見。お店は、待合室の奥にありましたが、構内にむけてもちょっとだけ門戸開放されていました。

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そのさりげない佇まいにほだされて、かけそばを一服。

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再び甲府方面へ出発して…ふたつ目の駅、「はだかじま」。

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ちなみに漢字表記では「波高島」です。


昨年10月に訪れた際、季節外れの桜がちらほらと咲いていた甲斐上野駅。
こんどは、本格的に咲いていました。

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13時半ちかくに甲府駅に到着。
早速、山スカ色の列車を見つけました。嬉しい。

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甲府駅で見つけた自動販売機。商品のラインアップが個性的。
コーンポタージュとオロナミンCが強力にプロモーションされているのは何故だ!?

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甲府からは長野色の列車にのって小淵沢に向かいます。

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あ!「はんぶん機関車」。

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小淵沢からは小海線に乗ります。
乗車したのはこちらのキハ。

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ゾロ目!111-111。

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身延線では沿線に桜の花を見ることができましたが、小海線では、木々はまた冬の姿で、桜はつぼみの気配すら見えない状況。寒の厳しい高地であることを実感しました。

中込駅。建物の壁面には臨時列車の歴代ヘッドマークが掲げられていました。

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もっとも気になったのは、ドラゴンボールのイラストが描かれたもの。孫悟空と天津飯の後ろに描かれた列車の編成…なぜか「車掌車」の割合がとっても高い。

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この日は、佐久平で夕飯を食べて、のち新幹線で高崎までワープ。高崎線で東京まで戻りました。


計10回分を使った今年の春の青春18きっぷ。
今年の春もたくさんの旅をさせてくれたこのきっぷに感謝です。
4月7日。

毎年恒例の家族でのお花見。今年は上野でした。
上野公園があまりにも混んでいたので、思いつきで上野動物園へ。


上野公園の一角には、五重塔があります。そしてその周辺は「鳥」のためのエリアとなっています。

丹頂鶴が五重塔の前を歩いている様子は、ザ・江戸絵画!という感じの光景。

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塔の周りでも、桜が見事に咲いていました。

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赤い塔と、白い鳥のコントラストも美しい。

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お花見による、あまりの喧騒を逃れてやってきた動物園ですが、ここでこんな素晴らしい桜に出会えるなんて…と少し感激してしまいました。

なお、美しい日本建築と鳥たちの組み合わせは、「絵的」には素晴らしく美しいのですが、これって「文化財保護」の観点からはどうなのかな…という気も。鳥のツメ跡や糞などで建築が傷むことはないのでしょうか?


橋を渡って、東園から西園へと移動する際には、早春の柳に縁取られた不忍池を一望できました。

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家族で上野といえば「動物園」よりも「美術館」だった我が家。
大人になってから親と動物園に訪れるなんて、とても新鮮な経験となりました。予想以上に楽しい時間となりました。


我が家がもっとも盛り上がったのは、ペンギンのエリア。
そのプールには、「ペンギンではない鳥」が一羽紛れ込んでいて、鑑賞者のツッコミを誘っておりました。

まわりのペンギンも「あれっ? あいつペンギンじゃなくね?」
という感じの反応。かなり笑えました。

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夕方より水月ホテル鴎外荘で懐石のコースをいただき、帰り道はふたたび上野公園を通って上野駅まで。


夜の上野公園は、提灯にもあかりがともり、艶やかな雰囲気に。
人々も、お酒が入っている人が多いと見えて、なんとなく浮き立っている様子。


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その花を見るために「集まる」という口実を人々にあたえ、それを眺めるだけで幸せな気分にさせてくれる。桜というのは本当に不思議な花だと思います。
4月4日。とても風の強い日。

この日は青春18きっぷで常磐線方面の美術館を訪問しました。


美術館に行く前に、まずは我孫子で下車。
こちらでは弥生軒の「からあげそば」に初挑戦しました。

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鉄道ファンの間ではその巨大なからあげで知られる駅そば屋さんですが、実はアート関係者の間では山下清がアルバイトをしていたお店としても知られています。


からあげそばは、いろんな意味で壮絶な食べものでした。
その理由は下記のとおり。

・から揚げは、とにかく大きい。
・から揚げは揚げ置きされているものの場合、冷たくなっており、それが碗の中の温度を瞬時に下げてしまう。
・から揚げから食べはじめると、麺がすぐに伸びてしまう。それ以前に、元々かなり柔らかめの状態で提供される。
・麺を先に食べようとすると、から揚げの衣がつゆを吸収して、さらにから揚げが巨大化する。てんやわんやになる。

なんとなく負けた気分になって初めての「からあげそば」体験は終了。


引き続き常磐線で先に進もうとしますが、強風のためダイヤはかなり乱れていました。

この日は本当はいわき市美術館の「光あれ!河口龍夫──3.11以後の世界から」も見たかったのですが、強風による列車の遅延で水戸への到着が大幅に遅れた為、いわきへの訪問は断念。

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とりあえずおなかが減ったので、とりあえずここでもホームのおそば屋さんへ。
カレーうどんを食べました。

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水戸での目的は水戸芸術館で開催中の「ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガー -力が生まれるところ」。

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館内に入ると、震災のため破損したパイプオルガンが、修復を終えてお披露目された姿を見ることができました。

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会場で訪問者を出迎えるのは「Handy God(携帯電話の神様)」。
*今回の展覧会に限り会場内の撮影は許可されていました。

プリミティブな仮面の頭部にたくさんの携帯電話が植え付けられた作品。眼の部分が鏡になっていることに気付いた瞬間、これが私たち現代人の姿そのものであることに気付かされます。

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床面が水色に仕立てられた最初の展示室では、いくつもの机が並べられ、それぞれの上、あるいはその上空で様々なインスタレーションが展開していました。実際には、正しくはこの展示室そのものが「Nursery(苗床)」と名づけられたひとつのインスタレーションということになっているのですが、それぞれの楽しみ方はいろんなベクトルのもとにあり、様々なアトラクションが出迎えてくれる、まるでアートのゲームセンターのような印象を受けました。

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例えば、大きなポリバケツのなかに入っている液体を結晶の上に注ぐことによって結晶をさらに成長させることができたり…レコードのうえにキノコを象ったオブジェを載せることにより、それが狂ったようにレコードの上を回転するのを見ることができたり。

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ポップで、ちょっとナンセンスな面白さがあるこの展示室を抜けると、人生相談あるいは懺悔室を思わせるような暗いブースが並ぶ「Sweet Little Nothing(いとしいなんでもないもの)」があります。

この裏手には棚にさまざまな標本が並べられたスペースがありました。

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標本の中身は、どれも個性豊かなものばかり。
例えば、「展覧会を見に来ない政治家のポケットの中のホコリ」。

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そのほか「コクトーの毛」「ヤンキーのおなら」なんてものもありました。


薄い銀色の幕に包まれたベッドに横たわって体験する「Lymphatic System(リンパ系)」が続きます。ブーツを脱いで、上を見上げて寝そべって、ドームのなかに吊り下げられた発泡スチロールの塊やペットボトルといったがらくたを眺めていると、自分もそのなかを浮遊しているような気分になりました。

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この展覧会は、「感覚」と「感情」というものの差異、あるいはその連動について考えさせる場面が多かったです。たとえば、「Tear Reader(涙を読む人)」では自分の涙の結晶を作ることができたり、あるいは他者の涙の結晶を観察することができるのですが、これは、感情が感覚に対して優位である状況をテーマにした作品です。ここに残された参加者のコメントを読むと、涙を出そうと一生懸命悲しい出来事を思い出そうとしていた様子がわかり、少し可愛そうなような、滑稽なような。しかし一方で、涙はいつも流れた後は消えてしまうから、それが残された姿を見てみたいという人々の好奇心が伝わってきてくる作品でもありました(実際には何度もあくびをしてなんとか涙を出した人も多かったようですが)。


このほか、古代の文様に着想を得た巨大な万華鏡のような映像インスタレーションを大きなブランコにのって眺める作品、世界中の人々とのふれあいのなかで撮影された写真のシリーズ、巨大なウォーターベッドを使ったなどもあり、ユニークだけれど、それぞれ感覚や感情を刺激してくれるこのアーティストの世界を十分に堪能することができました。


この日は、毎年恒例「高校生ウィーク」の期間中。
高校生とのコラボレーションによって館内に設けられたカフェに立ち寄りました。

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ここでは居心地のよいソファや、自由に読むことができる書籍が用意されていて、訪問者にはコーヒーも提供されます。

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1時間ほどかけて何冊かの本に眼を通しましたが、なかでも印象に残ったのは小山薫堂の『恋する日本語』は、日本の美しい言葉をテーマにした、数行のラブストーリーによるアンソロジー。これはヒトを一気に恋愛モードに突き落とすようなとんでもない威力を持った恐ろしい本でした。


帰りは水戸駅まで歩いてみました。


駅に続く道には徳川斉昭の像がありますが。
どことなくキリスト教の「祝福のポーズ」に似ている気がするのは私だけでしょうか…。

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強風による列車の遅延のため、この日はひとつの美術館しか訪問できませんでしたが、今回の展示は、まさしくゆったりとした気分で見るのに向いている内容だったので、かえってよかったかなという気持ちになりました。

そして、こんな美術館がある街って、素直に「うらやましい」と思いました。
by paginademaiko | 2012-07-02 21:47 | アート
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