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9月24日。

森美術館にて、アラブ世界の現代美術をテーマとした「アラブ・エクスプレス展 アラブ美術の今を知る」を見てきました。


こんにち、我々がニュースにチャンネルを合わせれば、アラブ世界の話題を目に触れない日のほうが少ないといえます。一方で、政治や事件といった出来事以外についてはニュースで語られることはほとんどなく、そこで暮らす人々の日常については、わたしたちはほとんど何も知らない、というのが実情ではないでしょうか。


この展覧会では、アラブ世界出身のアーティストたちがその文化を土壌として生み出した作品が展示されています。そのまなざしのありようは時に客観的であり、時に批判的であったりときわめて多様ですが、展覧会全体を見渡すことで、必然的に現在のアラブ世界というものが浮き上がってくるような構成になっていました。

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ただし、全体的には、多くの矛盾と暴力、差別、それに対する抵抗や糾弾というテーマを扱った作品が多く、見終わった後で、シビア-な現実のなかで彼らは生きているのだと感じざるを得ませんでした。

皮肉なことに、そんな作品たちのなかにあったためか、欧米文化に憧れる人々の姿をあっけらかんと表したアトファール・アハダース「私をここに連れて行って:想い出を作りたいから」は、特別印象に残りました。これは実際に数多く営業されている、合成写真を撮ることができるスタジオをテーマとした作品で、展覧会場ではそのスタジオの再現のほか、写真の例が展示されていました。日本でいうプリクラの、もっと力が入ったようなものでしょうか。

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スタジオの再現については、日本での展示を意識してか、六本木ヒルズや富士山なども挿入されていましたが、一方で写真については西洋風の豪邸や高級車、リゾート地がその舞台となっています。そしてそこに写っているのは男の人ばかり。資本主義においては、商品というのは消費者のニーズによって育まれるもの。つまりこれは、アラブ世界の男性が思う「ステータスってこういうものだよね、こういうオレってカッコイイ」というものに応じて作られた設定なのでしょう。


このほか、視覚的に強く記憶に残ったのは、マハ・ムスタファ「ブラック・ファウンテン」。黒っぽい水がエンドレスに吹き出し続けるという作品です。

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すぐに連想するのは石油ですが、その濃度からすると油というよりも水を思わせ、単純に石油だけを表現した作品ではなさそう。その背景には東京の町が借景のように広がっていました。
by paginademaiko | 2013-01-30 14:45 | アート
9月23日。


たまには親孝行。
この日は「敬老の日」が結婚記念日である両親を東京駅まで呼び出しました。

といいつつ、実際には、見たいアートイベントへの訪問へ巻き込んだともいえる内容。

企画その1 
まずは自宅にてプレゼント用のフラワーアレンジメントを作成。
近所の花屋さんで花を調達したのですが、運よく「雪柳」の枝が手に入ったので、見た目がとても立派になりました。

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これは待ち合わせの前にレストランに届けておいて、テーブルにセッティングしていただくように依頼。


企画その2 
東京駅で待ち合わせののち、新橋まで移動して汐留ミュージアムで「アール・デコ 光のエレガンス」を観覧。


企画その3 
新丸ビルのタイ料理店「サイアム・ヘリテイジ」でのディナー。
初めて入ったお店ですが、スタッフのタイ人のお姉さんがとびきり親切で、「まさしくタイはほほえみの国なんだな」と再認識した次第。


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このお店を選んだ理由は…

企画その4 
この日開催された東京駅へのプロジェクションマッピングが、よく見える場所にあるから。


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しかし、今思うと、女の子を口説き落とす男性が考えるデートコースみたいだなあ、これ…。


9月22日。

小菅駅より東武線の下り列車に乗車したところ、車内がどんぶりレシピにジャックされてました。

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多くの企業がスポンサーとなっている企画で、食品メーカーのほか、「サカタのタネ」といった種苗メーカーさんも参加していました。

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おなかがグーグー、よだれがじゅるりとなってきた頃に目的地の西新井駅に到着。
あやうく降り遅れるところでした。
9月16日。

仕事帰りに、美しい夕暮れ空に出会ったので、バスのなかから撮影。


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神奈川県葉山町にて。
9月10日。

夏の青春18きっぷの最終回分を、東海道線沿線の美術館めぐりに使いました。

この日、続いて訪問する美術館は三島。
東海道線で東に戻るため静岡駅に向かいます。

静岡駅でお食事をするときは、だいたい「沼津魚がし鮨」と決めています。
(いつもは駅ビルのパルシェのレストラン街にある店舗を利用することが多いのですが、この日はあまり時間に余裕がなかったため、改札口にも近いASTY内のお店にしました。)


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その後、東海道線で東に向かうこと約1時間。
三島駅からシャトルバスに乗って向かったのは、「クレマチスの丘」にあるIZU PHOTO MUSEUMです。

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ここでは「松江泰治展:世界・表層・時間」を見ました。


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松江の作品は、山岳地帯や都市の高層建築などを大きなスケールで捉えるものです。写真の構図は明快で、鮮明な画像は対象を客観的なまなざしでとらえており、そこには写真というものから虚偽を排除し、対象の姿をすべてひのもとに曝そうとするような意志さえ感じます。

しかし、その一方でその作品からはどこか不自然な印象を受けるのも免れません。それは、スケール感の把握における「とまどい」にも似ています。その理由は、画面の中には空が決して写りこむことがないこと、そして、日光が対象に対して均一に照射される時間を選んで撮影することにより、陰影がほとんど感じられないということによります。

これは言い換えれば、作者は日光と全く同じ角度で、対象に向き合っているということができます。正面から光を受け、そして空(「くう」とも読みたい)から断絶された被写体は、真空状態の中にあるようにも、鮮明な白日夢のようにも見え、さらには「面白い」という言葉の語源を思わせました。


窓ガラスの表面に付着した雫とその向こうの雨雲ばかりが見えるビデオ作品もありました。
雫自体はもう雨ではないのに、かつての記憶を内包したままガラスを流れ落ちます。その途中で他者と結合しあうものがあったり、時折彗星のように急速なスピードで画面に現れては去っていくものもあったり…ついついじっくりと見入ってしまいました。


静岡県内で撮影されたシリーズも展示されていました。
みかん畑、新幹線、お茶畑もその対象となっています。

また、作品のなかには、模型を撮影した作品もありました。
それに気づいたのは、品川駅近辺をとらえた作品を見ているとき。線路や車両の状態になんとなく違和感を覚えて、確認をしてみたらやはり模型でした。思わぬところで鉄ちゃん視点が役に立ってしまった感じです(笑)。


この日は、クレマチスの丘の敷地の大部分を占めるヴァンジ彫刻美術館については、企画展を開催していなかったこともあり訪問はしませんでした。したがって、残念ながら庭園部分のクレマチスを目にすることはできなかったのですが、IZU PHOTO MUSEUMやチケットセンターの近くでもちゃんとこの花はおもてなしをしてくれていて、夏の日差しの下、元気に咲いている姿をみることができました

薄紫色のもの、ベルのような形のもの…

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その後、シャトルバスで三島駅に戻り、東海道線で横浜を目指します。

駅で列車を待っていると、原色のEF66が登場。
やっぱりかっこいい!

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横浜美術館に到着したのは17時近く。
展覧会「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」を見ました。


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奈良美智の作品は、グループ展の一部や原美術館や青森県立美術館の常設展示など、年に何回のペースでは目にしていましたが、今回のようにまとまったかたち見るのは久々でした。

今回は新作を中心とした内容でした。新作ばかりで企画展の会場を埋めるというのは、基本的には膨大な作業量をともなうことになります。ゆえに、作品1点1点の完成度や密度をキープするのは本当に難しいことなんだろうなと感じました。この作家の制作スタイルや作風もあって可能になっている部分もあるんだろうなと…全体的に「雰囲気を楽しむ展示」という印象だったかな。


ということで、今年の夏の18きっぷの旅はこれにて終了。

この夏もありがとう青春18きっぷ!
by paginademaiko | 2013-01-30 14:20 | アート
9月10日。

2012年の夏の青春18きっぷの旅も、いよいよ最終回となりました。
この日は東海道本線を使って、静岡県内と神奈川県内の美術館をまとめて訪れました。

訪問したのは、以下の3つの展覧会。

静岡市美術館フィンランドのくらしとデザイン
IZU PHOTO MUSEUM松江泰治展 世界・表層・時間
横浜美術館奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている

東京駅を出発したのは、いつもの通勤時間と同じくらいの朝6時半頃。
まずは、一気に静岡まで向かいます。

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乗車した列車は沼津行き。

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8時半過ぎには沼津に到着。
「キヤ」がお出迎えしてくれました。
これは様々な検測を行うための車両。実際に見るのは初めてでした。

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ホームで、朝の1麺。
どんぶりの色がなかなか個性的です。ちょっとヨーロッパの陶器を思わせる色だなあと思うのは私だけ?

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そしてここからさらに西へ向かいます。

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静岡駅には10時前に到着しました。
こちらでは静岡市美術館の「フィンランドのくらしとデザイン」を訪問。


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開館時間直前に到着しましたが、すでに入り口前には開館を待つ人々がいました。

とても満足度の高い内容でした、内容の濃さのみならず、個性や多様性もきちんとおさえられていて、しかも随所にムーミンのナビゲートというチャーミングなポイントつき。

展示は国土を描いた絵画作品や民族叙事詩「カレワラ」の紹介に始まり、サーリネンの建築や家具、北欧らしい雑貨や食器のデザイン、それにマリメッコのテキスタイルからファッションまで、フィンランドの魅力がぎっしり詰まっていました。展示の中盤にはムーミンのコーナーもあって、その作者であるトーヴェ・ヤンソンの美術家としての活動も紹介されており、油彩画なども展示されていました。

最後のスペースには現代のフィンランドという国やその産業を紹介する展示があり(こちらはキュレーションされた展覧会の一部というよりも、プロモーションという雰囲気が強いように感じました)、おもわず次の海外旅行の行き先はフィンランドというのもいいのでは…という気分にまんまと(?)させられてしまいました。

冬は寒そうだから夏がいいですかね。

エントランスにはこんな可愛らしいおうちが出現していました。
これは「森の家」といって、主に夏に使う別荘に付随して建てられた、子ども部屋やサウナとして使われる小屋だそうです。

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私が訪問した際、来館者の大半は女性でした。友人たちと連れだって、楽しそうに展覧会を見ている人が多くて、会場全体に、すごくいい雰囲気が漂っているように感じました。

その後、次の目的に向かうため静岡駅へ。


ところで、フィンランドに関する思い出といえば、大学時代にお付き合いしていたちょっと年上の男性が「フィンランディア」という名前のバーに連れて行ったもらったことがありました。それは祇園の古い家をリノベーションしたところで、木の根っこから作ったというスピリッツを飲んだことを覚えています。


あれから時が経って、私も彼くらいの歳になってしまった。
彼、お元気でいるかしら。
by paginademaiko | 2013-01-30 14:11 | アート
9月9日。

この日は18きっぷで吾妻線方面へ向かいました。
目的地は伊香保にあるハラ ミュージアム アーク、そしてそれに隣接する伊香保グリーン牧場です。


まずは上野から高崎線で高崎まで向かいます。

この日は車窓からこんな車両を目撃。ヘッドマーク付き。


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高崎についたところで、乗り継ぎの列車まで少々時間があることが判明。

ということで、当初は予定していなかった「高崎の鉄フェス」にちょっとだけ参戦…滞在時間は10分ほとでしたけれども。

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機関車せいぞろい。

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高崎駅の周辺にはいつも古い車両が留置(放置?)されています。

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駅に戻り、湘南色の列車で渋川まで向かいます。

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渋川から伊香保方面までは関越交通の路線バスを利用。
この運賃が微妙に高い。乗車してからフリーパスを購入したほうが割安と気づき、車内で購入しました。

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まずは腹ごしらえです。
グリーン牧場に入場し、野外のテーブルでバーベキューを食べました。
ビールが美味しい!

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園内にはカボチャがゴロゴロ。実りの季節です。

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そしてハラ ミュージアム アークへ。
牧場の一角からもアクセスすることができます。

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ここを初めて訪れたのは高校生の時。
東京にある原美術館がその頃から大好きだったので、その姉妹館であるこちらにも訪れてみようと思ったのです。

この美術館は「現代美術ギャラリー」と「觀海庵」という展示エリアがありますが、この日はそれぞれで「おしゃべりなモノたち-原美術館コレクション展」「国宝「青磁下蕪花瓶」と水墨画-原六郎コレクション」が開催されていました。

現在美術ギャラリーは、それぞれ長方形のプランを持つ3つの建物が、放射状に配置されています。

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エントランスにあたる部分は野外になっています。

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今回はこの場所をふくめ、館内・敷地内の各所で「レジデンスプログラム 狩野哲郎「純粋な標識/Clear signs, Vivid tones」の作品を目にすることができました。

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中央の展示室では遠藤利克による巨大な円環状の作品があり、その周囲の壁にはもの派の作家の作品などが展示されていました。全体的に重い雰囲気の作品が多いですが、明るく天井の高い展示室のなかでは、それに負けず冷静な気持ちで向き合える感じがしました。一方、向かって右の展示室には、束芋のビデオインスタレーション、左の展示室にはナム・ジュン・パイクや草間弥生の作品などがありました。

そうこうしているうちに、時刻は午後3時近くに。
作品鑑賞を中断してグリーン牧場に向かいます。

その理由は、「シープドックショー」を見るため。

これは数年前にたまたまこちらで目にすることがあり、それ以来、また見てみたいとずっと思っていたショーです。

内容は、山の斜面に放牧されている羊を牧羊犬が誘導しながら集めてくるというもの。ただそれだけなのですが、その壮大な景色はなかなか衝撃的なものがあります。

最初見た時は、山上のひつじたちはあまりにも遠くにいるように見えたので、単なる「お飾り」かと思っていました。しかし、羊飼いによって放たれた犬は数十秒で山のふもとから頂上近くまで駆け上がり、またたく間に、羊たちをドドドドドドドドドとまとめながら下山させてしまいました。この間、2,3分のように思います。そのスピードたるや、まるで早送りの映像を見ているかのようでした。

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この日も羊はあっという間に集められて、みるみるうちに、モコモコとした雲海のような塊が、波打ちながら観客たちの眼前に迫ってきたのでした。

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牧羊犬は精悍な顔立ちをしていました。

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ちなみに、本場からやってきた羊飼いのお兄さんはややキアヌ・リーブス似のカッコイイ方でした。一緒に写真を撮りたかったなあ。

ショーが終わって「やれやれ」って雰囲気で草をはむ羊。

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美術館の観覧が途中のままだったので、ふたたび美術館へ。

こんどは、離れのように設置された展示棟「觀海庵」を訪問しました。
こちらの展示は国宝の「青磁下蕪花瓶」と水墨画を中心とした構成となっていました。

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展示室は全体的に暗めで、展示やライティングのスタイルは、21世紀に実現された古美術系美術館と共通するものが感じられました。白っぽい光に満ちた現代美術ギャラリーとは対照的でした。

思えば、21世紀以降、古美術を主に扱う美術館の展示というのは、室内空間を暗めにして、作品のみを光で照らすというスタイルが主流になっている気がしています…例えば根津美術館や三井記念美術館など。一方で、現代美術については、自然採光が可能なホワイトキューブタイプの展示室も増えていることから、こんにちの美術館建築というのは、現代美術は白、古美術は黒、といった対比的なイメージがはっきり感じられるように私は思います。

敷地内には立体作品もいくつか展示されています。

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茅の輪くぐり見たいに通り抜けてみたくなる、ハート形の作品はジャン=ミシェル・オトニエルによるもの。

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オトニエルについてはその少し前に品川の原美術館で展覧会が行われていましたが、見逃してしまいました。最近の展覧会で見なかったことを後悔した展覧会のひとつです。


帰りはバスで渋川駅まで。
駅に着くと、なんとそこにはタイミングよく上りのSLが停車中でした。
もうこうなったら乗るしかない!ということで指定券の購入を即決。

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…ところがその日の旅は簡単には終わらず。

SLに乗る直前に、行きの列車でしてしまったのですが、その保管場所を調べたところ、渋川よりさらに奥地の中之条駅に保管されているとのことが判明。

仕方なく、SLは渋川~新前橋の一区間だけ乗車し、その後再び吾妻線で折り返し、中之条まで向かうことに。

ということで、新前橋でSLをお見送り。

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ここから再び湘南色の列車に乗り変え。

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中之条についたところで、折り返し列車までは約2時間。
しかも、びっくりするくらいの激しい雷と豪雨で駅から出るのは到底不可能なレベル。

なんなんだこの展開は…と思いつつ、雨が弱まってきたところで和食屋さんになんとか駆け込み、「助かった~」という気分で群馬の地酒「水仙の里」でなんとか晩酌にありつけたのでした。

そんな予想外な展開の旅となりましたが、最後に高崎から東京に向かうにあたっては、このたび高崎線に導入された233系に乗ることができました。

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新車のにおいに、ちょっと得した気分になりました。
by paginademaiko | 2013-01-30 14:02 | アート
9月8日。


日帰り、しかも普通列車で行く愛知の美術館めぐり。
現地での滞在時間は約5時間。忙しい!

最初の訪問地である清須市はるひ美術館をお昼過ぎに後にし、豊田市美術館へ向かいます。


まずは30分ほど歩いて最寄りの清洲駅まで向かい、そこから東海道線でふたつ東の名古屋駅まで。そしてここで昼食。ホームにある立ち食いのきしめん屋さんで冷やしかきあげきしめんを食べました。


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そしてここからは中央線に乗り換え、鶴舞駅まで。

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鶴舞では地下鉄鶴舞線に乗り換え。
この駅を利用したのは初めてです。

鶴が舞っているモザイク画。

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この地下鉄路線は終点の赤池から名鉄豊田線に乗り入れており、ここで乗り換えることなく美術館の最寄り駅の豊田市まで直通で行くことができました。


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豊田市駅では反対側のホームに名鉄の赤い車両がいました。
この全身真っ赤な列車は本当にかわいい。


名鉄は、車両の番号などを記す数字のロゴが独特で、ついつい探してしまいます。
車内のカーテンと併せて、名古屋的メルヘンチックを感じさせるポイントです。

ここから豊田市美術館までは徒歩で20分ほどです。
美術館は少し高台にあり、直前で心臓破りの坂を上ります。

この日見た展覧会は「Carpe Diem Seize the day カルペ・ディエム 花として今日を生きる」です。

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会場では一部展示室を除いて写真撮影をすることができました。

カルペ・ディエムとはラテン語で「今日を生きる」という意味。
すなわちそれは「明日の不確実さ」を同時に意味し、「今を有意義に、精一杯に生きよ」というメッセージとして古代ローマ時代より流布した言葉です。

…ということは私も知っていたのですが、この展覧会で初めて知ったのは「カルペ」という意味がもともと「摘め」という意味で、元来は花に対して使う言葉であったということ。これをホラティウスが「今日」を意味する「ディエム」という言葉と結びつけることによってこの言葉が生み出されたそうです。


ちなみに私がこの言葉を知ったのは高校生の時で、ロビン・ウィリアムズ主演の「今日を生きる」という映画の中に出てきたセリフよってでした。


この展覧会は、花をモチーフした作品を通じて、「今を生きること」の意義を考える場となっていました。作品のスタイルは多様でしたが、ひとつひとつに見応えがありました。また、一貫したテーマに沿った展示構成により、全体を通して強いメッセージを放つという素晴らしい展覧会でした。



導入段階では、生と死、あるいは無常観をテーマとした16世紀の版画のほか、モリスのテキスタイル作品などが展示されていました。モリス作品のタイトルは「いちご泥棒」というユニークなもの。

展示室をいくつか経たところで、現代作家による作品の展示が始まります。福田美蘭による作品は、いつでも明るいシニカルさで覆われていますが、ここで展示されていた巨大な胡蝶蘭を表現した作品にも作家らしさが反映されていました。胡蝶蘭はお祝いなどにもよく使われる高級な花ですが、特に高級クラブや俳優の楽屋に対する「華やかな競争社会で生きる人々」への贈り物というイメージも強い。そして、そのお値段に比して、管理が難しく、あっという間に枯らしてしまうことが多い花でもあります。


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私の聞いた話では、あるお店が開店祝いに数十鉢(!)ももらったが、半年以内にその殆どをダメにしてしまったということも…。

そんなわけで、この過剰に大きな胡蝶蘭は、そんな華やかさと儚さの象徴とも思えるような花を、マニエリスム的に表現したように思えました。制作は1990年代末年。

ただ、リアルな表現をもちちつ、実際のサイズより巨大化されている花というのは、1990年に公開された黒沢明の映画「夢」に出てくる、放射能汚染で巨大化された花を思い起こさせるものでもある。この作品が作られたときには、この作品を見てそんなことを思う人がどれだけいたかわからないけれど、もしかしたら今この作品をみて、あの映画を思い出した人は私だけではないかもしれない。




そして展示は2階、3階へと続きます。



アラーキーのための展示室では、帯状の写真がスペースの内側をぐるっと取り囲んでいます。画面のなかは、乱れ気味の花と、人形たちが過大にぎっしりと詰め込まれ、情念や、時にそこから滲み出てくるまがまがしさによって息苦しくなるくらいでした。凄味のある作品ですが、来訪者がその鑑賞にスッと入っていけるのは、その表現力のほか、天井の高いホワイトキューブのおかげもあるかもしれません。

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油彩作品については、イケムラレイコによる花の絵が印象的でした。イケムラレイコの作品は、これまで人物を表現した平面・立体の作品を目にする機会がありましたが、私には怖すぎて正直言って苦手意識がありました。しかし、今回展示されていた花の作品は、モランディを思わせる渋い感じで、花の「淋しさ」みたいなものが伝わってくるようで、心に残りました。

ノット・ヴィダルの巨体な未開敷蓮華には、これをアトリビュートとする聖観音を思い出さざるを得ません。

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1981年生まれの福永恵美は菊やダリヤを脱色したものを素材としたインスタレーションを展示。いやおうなく色を奪い取るという行為には若干の暴力性を感じます。平らに寝かされた姿は魂の抜けた身体を思い出させる、死を連想せざるを得ない作品。

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ただ、私には同時に違う見方も浮かんできました。過剰に勝手な想像にはなりますが、それは男性が女性に対して、ほぼ盲目的に夢見てきた「純さ」「ピュアさ」に対する無言の反抗にも思えたのです。

コマーシャリズムやアニメーションのなかに現れる「白いワンピースを着た女の子」は、男性の脳内の中に生まれ、表象される生き物だと私は思っています。それは後ろ姿で表現されることもありますが、これもまた幻想性のあらわれでしょう。純真無垢な女性というのは実際にはほとんど存在しません。それは男性の脳の中のみで合成される、体温のないお人形なのです。

ところで、若いこの作家さんは「あしたのジョー」でジョーが真っ白になってしまったことはご存じないかもしれませんね…。


帰りは、岡崎駅からJRに復帰することにしました。
豊田市駅に隣接する、愛知環状鉄道の新豊田駅から岡崎に向かいます。
この路線に乗るのも初めて。


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乗車後、終点の岡崎駅が近づくと、車掌さんが車内検札・清算にやってきました。
検札はあまり遭遇したことがないので、珍しいなあ…と思っていたのですが、岡崎駅に到着した際にその理由が判明しました。JRへの乗り継ぎまでの間に改札口がないのです。

乗客の人数が多すぎたら一体どうするのだろう、と余計な心配をしつつ乗り換え。


岡崎駅で上り列車を待っていると、轟音とともにEF210が通過して、その音にドキドキ。

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そして帰りも延々と東海道線を乗りついで帰京したのでした。
by paginademaiko | 2013-01-30 09:48 | アート
9月8日。

青春18きっぷを使って、日帰りで、愛知県にあるふたつの美術館を訪問してきました。

一日のうちに青春18きっぷで往復しようと思うと、愛知県はかなり限界に近いものがあるのですが、それでも新幹線を使えば2万円かかるところを、約10分の1の「2210円」で済んでしまうというのは魅力が大きいです。


東京駅を5:20発の沼津行きで出発。

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何度も何度も言ってしまうけど、これは3月までは特急型車両の373系を使用した静岡行きでした。それが廃止されてしまったことは残念無念の極みで、東京駅を出発するときの気分の低さはこの先しばらくは拭えそうにありません…。

沼津で後続列車に乗り換え。
車内は大混雑で、結局浜松まで座れず。

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吉原では岳南鉄道の車両が見れました。
でもこの会社でもやはり3月に貨物輸送が廃止されており…今思うと2012年のダイヤ改正というのは本当に淋しい出来事が多すぎました。

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そしてその後も東海道線を乗りついで、この日最初の目的地である清州で下車しました。

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時刻は11時半近く。

ここからは歩いて「清須市はるひ美術館」に向かいました。
徒歩20分…とチラシには書いてありますが、実際には30分ほどかかりました。


暑さはそんなに苦手ではないのですが、とにかくこの日は暑さ半端なく、到着するころには、汗が滝のように流れ、目はチカチカしていました。いまにもバタッとなりそうになりながら、美術館のり口へ…

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こちらの美術館の訪問の目的は「渡辺おさむ展 お菓子の美術館」を見るため。その作品はこれまで美術雑誌などで目にすることはあり、気になってはいたのですが、実際に作品を見たことがなかったのでこの機会に訪問をすることにしたのです。

入り口には大きなホイップクリームが。

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渡辺おさむは、ホイップクリームやフルーツといったスイーツの材料の「フェイク」から成る立体作品を制作するアーティストです。とにかくスイートな見た目をもち、且つデコデコ、モリモリしています。一方でアーティストは、それとは別に世界遺産にホイップクリームを載せていくという「Trip of Cream」というシリーズも展開していますが、いずれにしてもスイーツという言語でアートを語るということを一貫して行っているのです。

エントランスに設置された作品は撮影が可能とのことでした。

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実は、今回は展覧会を見るまでは、もしかしたら食傷気味になってしまうかなという不安も抱いていました。

会場に入ると、そこはいきなりパステルカラーを基調としたお姫様テイストの空間が展開していました。ステージ上には、ホイップクリームやフルーツでびっりしと表面がデコられた動物たちがステージ上に並んでおり、ショウの幕開けを告げています。

こちらの展示室では、タワーをテーマとしたシリーズもありました。
ピサの斜塔、エッフェル塔、そしてスカイツリーなどが小さなスケールで、表現されています。

塔というのは古今東西において様々な機能や意味が与えられているものですが、それらがことごとくスイーツに置換されることで、文明の差異を「あまいもの」というものに「いっしょくた」に昇華させているのが面白いと思いました。

「かわいさは正義」ってところでしょうか。


ひたすら甘くてポップな世界が続きますが、さらに進んだところで、アートファンが「ニヤッ」としてしまうようなスペースが現れました。

それは「お菓子の美術館」と名付けられた章。

それは古今東西の名作をモチーフとしたシリーズ。選ばれていたのは、チラシに使われていたような、古典古代の名作から、現代アート、そして仏教美術に至るまで。

全身がチョコレートでアレンジされた、ロダンの「考える人」はいろいな連想を興させてくれました。

ロダンがフランス人であることは誰もが知るところですが、その代表作が黒いチョコレートとして表現されているのは(つまりそれは黒人であるようにも見える)、フランスという国の文化的・歴史的背景と併せて考えると、なにやら深い意味も読み取れそう。

それに、チョコレートは頭脳に効く食べ物でもあります。悩める思春期の青年や、受験生にも差し上げたい。

ボッティチェリのヴィーナスは、立体に表現されていました。
というか、この美女は本来は絵画作品、つまり平面作品の中の人物なのですが…。ちなみにその1か月ほどまえに水上の「若旅民芸館」で目にした像も同じように3次元にメタモルフォーゼされたものだったっけ。


これはその時の写真。


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ちなみに、こちらは千葉県内で友人のM氏が発見したもの。

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若旅民芸館での設置状況とおなじく、この千葉県でのケースでも、このヴィーナス像は男性のシンボルとともに置かれています。

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なんだか、手前に写っております「鈴」も、ちがうものに見えてきますね。


話を展覧会に戻しましょう。

「MANDARA」はその名のとおり「曼荼羅」をイメージした作品。丸いケーキが横倒しになった状態で、縦横に並べられることによって密教世界イメージした作品は、個人的に大ヒット。


モノクロ写真のようにすべて白と黒の階調によって表現された作品も印象深いものでした。このアーティストが、やはり現代美術という文脈の中に生きているということを再確認したような気がしました。


会場のいちばん奥にはこまどりによるアニメーション作品が上映されていました。
画面の中央から、ホイップクリームの粒が、らせんを描くように増殖していくという単調な内容でしたが、ポロンポロンというピアノの音とよく合っていて、白一色というシンプルさも好感が持てました。なんとなく、伊藤若冲の「動植綵絵」の中のフグサシみたいに表現された菊の絵「菊花流水図」を思い出しました。


最後に訪れた展示室では、先述の、世界遺産や観光地にホイップクリームを並べてしまうシリーズが展示されていました。

このクリーム・ミッションの対象となったのはゴビ砂漠、万里の頂上のほか、京都の名所など。そのほか清須城など、美術館の周辺地域で撮影されたシリーズも展示されていました。


展覧会を見終えてみると、予想以上に頭をたくさん使った気分に。
疑似的糖分のたすけもあったかもしれません。


続いて、ふたつめの訪問地である豊田市美術館へ向かいます。
by paginademaiko | 2013-01-28 23:14 | アート
青春18きっぷによる茨城への旅。

水戸芸術館で展覧会を見終わったところで時間に余裕があったので、茨城の私鉄にも乗ってみることにしました。県内にはいくつかの路線があり、どれにするか悩んだのですが、この日選んだのは「ひたちなか海浜鉄道」。

ということで、水戸駅から常磐線に乗り、とりあえずJRとの接続駅である勝田駅まで向かいました。

勝田駅では、車内販売のワゴンがたくさん置かれているのを目撃。
自家用にもひとつほしいです。

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ひたちなか海浜鉄道の駅はJRのホームの端っこからちょろっと枝分かれしたような感じ。

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やってきたのはヘッドマーク付きの1両編成。

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紺地に白抜きのサボ。

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ここから終点の阿字ヶ浦駅までは30分弱。
いちばん大きな駅はその途中にある那珂湊駅です。

この鉄道会社は、古い車両もいろいろと所有しており、この駅では遠巻きにではありますが、それらを見ることができます。

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終点の阿字ヶ浦駅。
ひっそりとした雰囲気です。

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駅から海を見ることはできませんが、かつてここには夏になると海水浴客向けの臨時列車が乗り入れており、現在も、長いホームがその名残として残されています。

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ところで、列車に乗っていて気付いたことがあります。それは各駅の駅名看板の文字がその地域にちなんでデザインされているということ。

たとえば、阿字ヶ浦ではあんこう。

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隣の磯崎という駅は、漢字の意味としてはふたつとも海にちなむものですが、ここではサツマイモのイラストが盛り込まれていました。そして、実際に駅の周りにはサツマイモ畑が広がっているのでした。

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乗車してきた列車で折り返し、今度は那珂湊駅で降りました。

天井の梁の形が美しいと感じ、なんとなくレーモンドのデザインを思い出しました。
吊り下げられた、漁火のような電球もなんだかかっこいい。

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古色を帯びた「名所案内」。

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この駅には、駅猫の「おさむ君」がいます。
駅の中に見当たらなかったので、駅員さんに尋ねてみたところ、彼は事務室の中にいるとのこと。


厚意で中に入らせていただくと、おさむ君はゲージの中で休んでいました。

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ちなみに、外にはこんなサボがありました。

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歩いて15分ほどのところにある港まで向かってみました。

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手前には海産物やおさかな料理のお店が集まっています。

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岸壁は工事中でした。

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せっかくなので回転寿司のお店に入り、握りを数皿いただきました。

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大手チェーン店ではあまり見ないような魚が豊富にそろっていたり、手書きのお品書きに産地も添えられているところなどに、ちょっとした特別感を覚えるようなお店でした。お値段もお手頃で満足でした。

そして、歩いて駅まで戻ります。

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西日に照らされた古い車両は、いっそうノスタルジックに見えました。

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勝田行きの列車も、やはりこの車両でした。

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働き者さんなんですね。
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