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2013年8月19日。

伊豆箱根鉄道の甲種輸送を追いました。

「甲種輸送」というのは、鉄道車両を貨物の対象とする輸送を指す言葉です。具体的な例では、車両がメーカーから鉄道会社に納品される場合や、ある鉄道会社の車両を検修する時に他社の線路を通らなければならな場合などがこれにあたります。

…そして電気機関車が力強く他の旅客鉄道会社の車両を牽引して運ぶ姿というのは、貨物列車ファンの私にとっては目がハートになってしまうようなイベントなのです!

この日の内容は、伊豆箱根鉄道の車両を検修のために輸送するというもの。

伊豆箱根鉄道には「大雄山線」と「駿豆線」というふたつの路線があります。それぞれは小田原駅と三島駅を始点として箱根や伊豆方面へと伸びているため、お互いは線路ではつながれていません。しかし同社の検修施設は駿豆線側のみにあるため、大雄山線の車両を検修する際は、小田原から三島までJR東海道線の線路を通ってこなければならず、ついてはこの区間はJR貨物が牽引を担当するということにになっているのです。

ということで、まずは電車に乗って小田原まで。

途中の根府川では、伊豆急のαリゾート21が追い抜いて行きました。「出張ですか。いってらっしゃーい!」とお見送り。


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小田原には9時半頃に到着。JRのホームから大雄山線の状況を観察します。

線路には作業員さんたちの姿がありました。このプログラム自体は定期的に行われているものですが、どうやら今回は新聞でも紹介されていたようで、これを見守る鉄道ファンや家族連れの姿も目立ちます。


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10時頃。
黄色い車体の「コデ165」が、旅客用の車両「5000系」を牽引してやってきました。

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車両の最後部には反射板。


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コデとの連結部分を真横から見てみる。
稲妻風の意匠があしらわれています。

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窓には「特殊貨物検査票」が貼られていました。

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やがて平塚方面から電気機関車が登場。
空コキを3両連結していました。。


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一方、5000系はコデから切り離され、機関車との連結を待つ状態に。

そして機関車はJRの線路上を熱海寄りまで進み、そこからスイッチバック的に大雄山線の線路に進入。
(コキが挟んであるのは、この連絡線(?)の上空部分には架線がなく、その非電化部分の長さをカバーするためと思われます)

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その最後尾に付けられている反射板の裏側には「川崎貨物駅」の文字。
思わぬところに手書きの文字を発見すると、なんだか銘文を発見したような気分になります。

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連結は多くの作業員さんに囲まれながら行われました。

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その作業が終わると機関車は100mほど熱海方面へと進み、これにより5000系も大雄山線から抜け出てJRの線路まで進入。

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そして出発を待ちます。
その間には「スーパービュー踊り子」もやってきました。

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その後の行程は、いくつかの駅で停車をしながら三島駅に13時半過ぎに着くというもの。


ということで、とりあえず先回りして湯河原で待ち伏せし、小田原からやってくるEF65を迎え撮り。

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貨物列車の「停止目標」がかなり前方にあるため、ホームからは少し見づらい位置になりましたが、ここでも「踊り子」との並びを見ることができました。

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さてさて、後半のメインイベントの舞台となるのは三島駅。
ここでは電気機関車「デキ」が、駿豆線の大場にある工場からやってきて、大雄山線の車両を受け取るのです。

そこで三島駅でスタンバイしていると、予定通りデキがやってきました。


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こ、これは相当年季が入っています!そして聞いたこともないような音が出ています。


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古い電気機関車といえば岳南鉄道に所属する昭和初期のデキがありますが、それが何と無くエレガントでフェミニンな印象があるのに対し、こちらは戦後間もない頃に製造されたゆえか、粗野で逞しい感じがします。つい興奮して写真をパシャパシャ。


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しかし…予定の時刻になってもEF65と5000系は現れず。

そしてこの列車を迎えるために三島まで来ていたデキもふたたび来た方向へ引き返してしまいました。

「何かおかしいぞ」

情報の収集につとめたところ、どうやらEF65はこちらにむかう途中で車両に不具合が生じ、三島のひとつ東の「函南」で停車しているとのこと。到着は予定より6時間ほど遅れた19時頃になるらしい。


あらら。


ということで一旦撤収。
その後、日も暮れきった19時頃に駅にいってみると…。

いました!そこには函南まで救援に行ったJR貨物の機関車EF200と、EF65、そしてそれから切り離された状態の5000系が。

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そして、先ほど引き上げていったデキもふたたび三島駅にやってきており、伊豆箱根鉄道の線路にて待機中。

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やがてデキはJR線内にある5000系を迎えにゆき、連結。

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そして工場のある大場方面へと向かっていったのでした。

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今回の輸送は、貨物列車のファンとしては少々がっかりな気分にさせられたものです。が、旧国鉄の機関車がそのような状況である一方で、老兵のようなデキが、何時間も待ったあとに数世代も下の電車を暗闇のなかむかえにゆく様子はえもいわれぬ格好良さと頼もしさがあり、なんとなくジーンとさせられてしまいました。

機関車トーマスや、映画「カーズ」のように、乗り物を擬人化したストーリーを考えた人の気持ちも、もしかしたらこんな感じだったんだろうな。
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